パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

複製された男 ★★★.5

2014年09月05日 | アクション映画ーハ行
主演のジェイク・ギレンホールが1人2役を演じ、「灼熱の魂」「プリズナーズ」のドゥニ・ビルヌーブ監督のメガホンで、ポルトガル唯一のノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説を映画化。自分と瓜二つの人物の存在を知ってしまったことから、アイデンティティーが失われていく男の姿を描いたミステリー。大学の歴史講師アダムは、DVDでなにげなく鑑賞した映画の中に自分とそっくりの端役の俳優を発見する。驚いたアダムは、取り憑かれたようにその俳優アンソニーの居場所を突き止め、気づかれないよう監視するが、その後2人は対面し、顔、声、体格に加え生年月日も同じ、更には後天的にできた傷までもが同じ位置にあることを知る。やがて2人はそれぞれの恋人と妻を巻き込み、想像を絶する運命をたどる。

<感想>世の中には自分にそっくりの人間が3人はいると言われている。私も道すがらに声を掛けられて、相手の人は戸惑ったような感じを受け、私もその人を、もしかして友達だったのに、忘れてしまっているのかもしれない。なんて思ったりもした。

しかし、この映画の主人公は、生徒もまばらな講義室で教鞭をとり、高層マンションの自宅に戻っては、提出されたレポートを採点し、恋人のメアリーとベッドでセックスをする。
そんな毎日を送るアダムは、同僚が薦める映画「道は開かれる」のDVDをレンタルして観賞し、その画面にホテルのベルボーイとして自分と瓜二つの俳優を見つける。もう彼はその男のことをネットで調べあげて、電話をしてみる。

すると、妻がいるらしく、アダムの声が彼にそっくりなので間違えて、そのことを違うといい、奥さんに不安を抱かせてしまう。しかし、アンソニーから電話を受けて、ついに二人はご対面をしてしまう。生年月日も身体の傷跡も同じで、不安に駆られたアダムはそこを逃げ出してしまう。

ですが、それから想像だにしない形の波紋が広がっていくわけ。アンソニーの妻は妊娠6か月で、夫が浮気をしていると勘ぐっていて、大学を訪れ夫に生き写しのアダムに困惑し、動揺してしまう。今度は、アンソニーの妻が怯えているので、その代償に恋人のメアリーを差し出せとなんて要求される。

ミステリーな展開に少し不思議な感じがする映画でもあった。それは冒頭の妖しいクラブの秘密の部屋。そこで繰り広げられる女性を愛でての遊びと、頭が蜘蛛になっている全裸の女、アンソニーの部屋の壁に張り付く大きな蜘蛛に、トロントの街を徘徊しているような怪獣のような蜘蛛の描写です。

きっと、蜘蛛は妊産婦のヘレンであり、夫が自分を大事にしていないことに腹を立てての、アダムの妄想、または幻覚なのでしょう。何かが欠けた満たされぬ日々を生きる男が、刺激を求め本能のまま、別の生と性を求めるアイデンティティーとセックスにについての物語り。映像は自分のコピーを映像として具体的に見せてしまう。文章は画像のようにコピーして見せることができない。ですが、想像を刺激するのは文字であり、あるいは言語の方かもしれない。

そこのところが具体的な映像の問題点となる。象徴的に出て来る「蜘蛛」にも同じことが言える。アダムがアンソニーに脅されて、お互いが入れ替わる形で彼に恋人のメアリーを差出し、自分もヘレンに安らぎを覚えてしまう展開にも、本当はアダムの妄想と幻覚に過ぎないのだろうと思っていた。ですが、アンソニーを待ち受ける衝撃な最後に、車でメアリーと帰る時に交通事故を起こして帰らぬ人となるとは。

演技者としては、一人二役の違いを醸し出し出そうとするジェイク・ギレンホール。ドッペルゲンガーをめぐる不条理劇である。モーション・コントロール・カメラによる、二人を同じ動きで捉える視覚性は完璧だと思います。主人公の大学講師の方が感情のふり幅を大きく取っているようだ。しかし、その配慮が映画を小さくし、設定を作りものめかす。
ですが、最も美しく心に残ったのは、メラニー・ロランとサラ・ガドンの透明のような美しさだったりもする。妊婦のサラ・ガドンが妊娠6か月というよりも、臨月じゃないのと思った。だから、カレンが女として子供の父親に誰を選ぶのか、という物語にフォーカスすると合点がいくはず。
それに、出番が少しだけなのに、母親役のイザベラ・ロッセリニーの存在感。「せっかく教師になれたのに、三流役者とソックリなんて聞かせないで。それより、身体にいいブルーベリーを食べなさい」という母親からの抑圧。
ラストは口外すべからず、とのネタバレ禁止だが、バレたとしても見る人によっては謎が深まるのでは。
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