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ドリーム ホーム 99%を操る男たち★★★

2016年04月13日 | アクション映画ータ行
ごく普通のアメリカ市民が、極端な格差社会が生み出した不合理な仕組みに翻弄され、ささやかな平穏な人生さえも奪われていくさまを鮮烈に描き出した社会派ドラマ。主演はアンドリュー・ガーフィールドとマイケル・シャノン。共演にローラ・ダーン。監督は「グッバイ ソロ」「チェイス・ザ・ドリーム」のラミン・バーラニ。
あらすじ:若いシングルファザーのデニス・ナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)。母(ローラ・ダーン)と小学生の息子と3人暮らしの彼は不況で職を失い、やがて自宅を差し押さえられてしまう。警察を伴い現われた不動産ブローカーのリック・カーバーは、有無を言わさぬ冷徹さで立ち退きを迫る。やむを得ず、母と息子を連れてモーテルに引っ越したデニス。必死に職を探すが、なかなか見つからず途方に暮れる。そんな彼に仕事を与えてくれたのは、皮肉にも彼を我が家から追い出した張本人のカーバーだった。家族の大切な家を取り戻すためならどんなことでもすると覚悟を決めたデニスは、カーバーの下でモラルを無視した商売に手を染め、大金を稼ぐようになっていくのだったが…。

<感想>ジョセフ・E・スティグリッツによる「世界の99%を貧困にする経済」をベースに、住宅ローンの返済不能により、家を差し押さえられた人々の実話をもとに描いた社会派サスペンスである。脚本がとにかく素晴らしいのだ。
裁判所までグルになったアメリカ資本主義システム批判の一作。与えられた猶予はたったの2分間──デニスの一家は一瞬にして宿なしになってしまう。いきなり訪ねてきた不動産ブローカーに差し押さえの事実を告げられ、彼らの見張る中で貴重品などをまとめて我が家を追い出される。主人公がようやく手に入れた家屋が、リーマンショックのためにローンが払えず、手放さなければならなくなり、発狂寸前の状態に陥ってしまうのだ。

不動産屋と警官がマイホームからの追い出しにかかる場面では、実にリアルで嫌な光景であります。これは思った以上に暴力的な絵面であった。確かに理不尽なことなのだが、主人公もリーマンショックで無職であり、銀行から借り入れた住宅ローンを払ってないのがこの事態になるわけ。

その後、近くのモーテルに部屋を借りるも、そこには自分と同じ境遇の家族が移り住んでいた。負けるもんかと、自分の家を取り戻したい一心で、不動産屋ブローカーのリックの手伝いをするうちに、自分も不動産屋の社員になってしまう。若いアンドリュー・ガーフィールドの憎々しげな悪役ぶりが、作品を一気にサスペンス・ホラーにしているのだ。
デニスの母親にはローラ・ダンが扮して、家の住宅ローン返済のことを気にしていないように見えた。目の前の利益を求め、カルチャーのない人間ばかりの登場がちょいと苦痛に感じた。
しかしだ、家を差し押さえになる一家の主が、不動産ブローカーに認められて、差し押さえ側に回る逆転劇の構図が効いていると思う。

住宅ローンが破綻した家の玄関の扉が次つぎと開き、その家の主人の顔が現れる衝撃的なモンタージュ。ドキュメンタリー的な生々しさが漂う。

だが、不動産ブローカーのカーバーは、借金に苦しむ庶民の住宅を次々と差し押さえ、法律と制度の盲点を突いて荒稼ぎする人でなしの不動産王だったのだ。
ですが、ただの箱である家が、家族や夢の象徴となった瞬間に人間を狂わせるのだ。惜しむらくは、演出が直球過ぎて、中盤で結末が何となく見えてしまうのが残念だ。

とはいえ、主人公のデニス・ナッシュが手に入れたプール付の豪邸のガランとした空虚さがすべてを物語っているように見えた。そこへ、母親と息子を連れて行くも、「こんなの自分たちの家ではない」と不満を言われ、昔の家を取り戻してくれと言うのだ。
不動産ブローカーのカーバーに頼まれた仕事は、他人の不動産屋の家屋から、冷蔵庫やクーラーの室外機、プールのポンプなどを盗み、後でその家屋をカーバーが買い戻して、売出しにはまた元どうりに取り付ける仕事をしていた。

うまい酒にセクシーな女たち、金が面白いように稼げる、成功者の世界に染まっていくデニスなのだが……。不動産業界の汚い実情が明らかになります。

デニスは、カーバーから差し押さえのノウハウを学んで実績を上げていく。巧妙に、そして卑怯に、小さな子どもを育てる一家や、身寄りのないお年寄りだろうと見境なく自宅を奪い取っていく冷酷なビジネスマンに。デニスは大金を手にし、失ってしまった家を取り戻す代わりに、善良だった心を失い、価値観を狂わせていく。高価なスーツで社長のカーバーと祝杯を挙げる姿は、悪魔に魂を売ってしまった男のなれの果てを思わせるように見えた。
最後には、友だちのフランクの家を追い出しにかかるデニスなのだが、本当のことをバラしてしまうのだ。結局はデニスには、本当の悪にはなれない正直ものとしての、損をするように出来ているのかもしれない。
不動産ブローカー役のマイケル・シャノンの、惨忍な迫力ある顔面が巧みに生かされている作品でもあります。

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