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スイス・アーミー・マン★★★

2017年09月25日 | アクション映画ーサ行

「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフが無人島に漂着した腐りかけの死体を怪演し、遭難していた青年の心の友となるばかりか、“スイス・アーミー・ナイフ”ばりに様々な場面で役立ち、彼の過酷なサバイバルを助けていく奇想天外アドベンチャー・コメディ。遭難した青年ハンクには「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」のポール・ダノ。監督はミュージック・ビデオ畑出身で、これが劇場用の長編デビューとなる監督コンビ、ダニエル・シュナイナート&ダニエル・クワン。昨年のサンダンス映画祭では最優秀監督賞を受賞した。

あらすじ:無人島で遭難し、死を覚悟していた青年ハンク。そんな彼の前に男の死体が流れ着く。死体からはガスが吹き出しており、思い切ってまたがってみると、まるでジェットスキーのように勢いよく海面を滑り出した。死体はその後も驚くほどの多機能ぶりで、追い詰められたハンクの窮地を救っていく。やがて過酷なサバイバルの中で、2人のあいだには確かな友情が芽生えていくのだったが…。

<感想>遭難した男が救ったのは、“便利な死体”だった?・・・奇想天外な発想で語られる青春のサバイバル・コメディー。主演ハンクには「グランドフィナーレ」のポール・ダノ。前代未聞の“死体”役には、「ハリー・ポッター」のダニエル・ラドクリフが、それに、「10クローバーフィールド・レーン」のメーリー・エリザベス・ウィンステッドが絡む。

アイデア勝負のブラック・ヒューマン・コメディのようにもとれる。スイス・アーミーマンとは生き返った死体、つまり一種のゾンビ映画でもあり、描写は悪趣味スレスレってところだが、不思議な爽やかさがあるのだ。無人島に漂流したハンクが、孤独のあまり首つり自殺を試みるも、死ねない。その時浜辺に打ち上げられたのが、ラドクリフの死体だった。で、その腐乱死体から発するガスで、浮力と推進力をかんがえることを思いつき、死体を操って島を脱出するわけ。

それに、この死体のガスは、実際にジェットスキーなみに海を走り陸に辿り着く。スイス・アーミー・ナイフをもじっての「スイス・アーミー・マン」というタイトルだが、ラドクリフが演じる「死体」は、数々の機能を持った「万能死体」という設定。

体内のガスを利用してジェットスキーになったかと思えば、弾丸を発射したり、死後硬直を利用して腕で丸太をへし折ったりするなど、ガスバーナーの役目も果たし焚火もつけるしで、過酷な状況を生き抜くサバイバル・ツールとして大活躍。言葉も発して主人公とコミュニケーションも図るなど……謎もいっぱい!
蘇った死体に名前を「メニー」と付けて、雨水をお腹の中に溜めこんでいたので、水道の代わりになったり、シャワーにもなる意外と便利なことに気が付く。

その死体のメニーは、ハンクと行動を共にするうちに、次第に人間性を見せるようになり、ハンクはメニーを友達として扱い一緒に故郷へ帰ろうと誘うのだが。森の中で二人はハンクがバスの中を作って、ハンクが恋焦がれたの恋人のサラのように、ハンクが女装をしてメニーには、自分になってもらう芝居ごっこだ。

それが、まるで「イントゥ・ザ・ワイルド」のような感じ、つまりハンクが森の中で彷徨い、飢餓状態になり記憶が遠くなること。映画が進むにつれ、これは「孤独」に関する寓話なのではないかと分かって来る。

そこで、家を見つけて声をかけると、そこにはあのサラが、子供を産んで幸せに暮らしている。サラが警察へ連絡をして、そしてメニーの死体は、身元不明で身寄りのないことが分ると、ハンクはメニーのことを思い海に連れて行こうとする。

その死体との友情物語であることが分るのだが、残念ながらその面白さが伝わってこない。しつこいギャグと下ネタの繰り返しに辟易してくるのだ。
タイトル表示では死体の、ダニエル・ラドクリフがトップになっているが、主役はあくまでポール・ダノの方だろう。ですが、死体を相手に全篇一人芝居を見せきるには、チャップリンなみの力量が要求されるので、さすがにポールには荷が重いようであった。

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