パピとママ映画のblog

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ダンスウィズミー★★★

2019年08月29日 | アクション映画ータ行

「ウォーターボーイズ」「ハッピーフライト」の矢口史靖監督が「グッモーエビアン!」「旅立ちの島唄 ~十五の春~」の三吉彩花を主演に迎えて贈るミュージカル・コメディ。ある日突然、謎の催眠術師によって音楽を聞くと体が勝手に踊り出すようになってしまったヒロインが繰り広げる大騒動の行方を描く。共演はやしろ優、chay、三浦貴大、ムロツヨシ、宝田明。

あらすじ:子どもの頃からミュージカルが苦手だったOLの静香は、訪れた遊園地で怪しげな催眠術師のマーチン上田から、音楽を聞くとミュージカルスターのように歌って踊らずにはいられない催眠術をかけられてしまう。以来、所かまわず歌い踊ってしまうせいで恋も仕事も失ってしまう静香。既に遊園地にマーチン上田の姿はなく、途方に暮れた彼女は、マーチン上田のサクラをしていた千絵とともにマーチン上田の行方を追って全国を旅するハメになるのだったが…。

<感想>ミュージカルが苦手な女子が、アクシデント(催眠術にかかった)で「音楽が聞こえると、突然歌い踊り出すカラダ」になっちゃって……さあ大変!・・・音楽が流れると歌い踊る「ミュージカル体質」になったら、どうなる? 着メロも店内BGMも、全てが“発動”のスイッチ! 思わず気になる場面が、「あらパンツが丸見えだわ」そんなところも、見る者の興味をグイグイと引っ張って画面にクギ付けになる。

ミュージカルでの歌と踊りの不自然さを、催眠術でそうなることにしたら、という発想なので。音楽場面への入り方のシャープさ、全体の音響構成の滑らかさは、もっと欲しいし、時には相当泥くさくもなるが、もうこの種のミュージカルはそうであるしかないのかもしれませんね。

おすましOLだったヒロイン・静香(三吉)の豹変ぶりが、本当に楽しくて面白いですから。そして、東京から新潟、秋田、弘前、函館、札幌と車での珍道中をギリギリ破綻なく綴っている。このロードムービーも、終始飽きさせない。それに濃い脇役のキャラクターたちが名曲の数々を歌うのは、ちょいと古い昭和歌謡曲で「夢の中へ」「狙いうち」「Happy Valley」など。爺さん婆さんたちなら、昔懐かし曲だよね。それでも笑いと感動が“五感”全部が、超ハッピーになれるってね。

「ラ・ラ・ランド」や「グレイテスト・ショーマン」など、ミュージカルは日本でも大人気のジャンル! ただし、一流のハリウッド・ミュージカル映画と比べたらいけません。こちらは、2流の学芸会のりのミュージカル映画でした。

「自分一人“だけ”が歌って踊る」・・「周りはビックリ!」・・「音楽が止むと我に返る」の流れが、ここまでくると白けてしまう。ミュージカルするほど人生が破綻をしていき、全てを失っていく女性の転落を、ミュージカルとして楽しく描き、ロードムービーになってしまっている。

彼女は職場でも、レストランでも路上でも歌って踊る。だから、劇中を彩るカラフルなミュージカルシーンは、それだけでも見ごたえ十分だが、終わった後に思わぬ「オチ」が付くのが本作流。つまり、レストランのテーブルかけを引いて、上に乗っているものを落として壊してしまう。シャンデリアにぶら下がり、ブランコして壊してしまうという、レストランでのミュージカルシーンの後は、静香が「頭の変な不審者」としてニュースに取り上げられるハプニングもある。

明らかに「ミュージカル慣れ」した俳優ばかりだと冷めてしまう……という人にも、本作はしっかりケアしてくれている。コミカルな演技で人気を博すムロ・ツヨシが、予想外のミュージカルで見る者を和ませてくれる。

逆に初代「ゴジラ」に主演した大御所の俳優・宝田は「こんなことさせていいの!?」な、トボけた役どころを好演。ですが、84歳の老俳優・宝田明さんは、昔はミュージカルの舞台でも活躍していた人。だからダンスや歌はお手の物といっていいでしょう。

なにより主人公の三吉彩花の魅力が十分に引き出されていて、彼女の表情や動きを眺めているだけでも楽しくなる。一緒に旅をした本物のミュージシャンのchayさんとは、「年下の男の子」を3人で歌う路上演奏。それに、秋田での元彼の結婚式で、大暴れしてスッキリした模様だ。披露宴で歌った「ウエディング・ベル」も上手い。

肝心のミュージカルシーンでは、観ているこちらが思わず一緒に踊り出したくなるような、高揚感には欠けているが、あっけにとられる周囲をよそに強制的に踊らされるという設定ゆえに、おそらくはある程度は意図されたものなのだろう。観ていて少し疲れる。

ラストのオチでは、北海道まで探して、魔術師の宝田がヒロインの静香にかかっている催眠術をほどいてくれる。その後は、東京へ戻り、OLになるのかと思いきや、一緒に旅をして苦労をしたモノマネのやしろ優と、事業をすることになるとは。

直線的がらも弾力のあるヒロイン三吉彩花を支えるように、癖のある出演者たちがそれぞれに奮闘しているのもいい。矢口監督らしい手作り的な仕掛けが、最後には功を奏したようだった。何を応援するか、どのような方向の楽しさにするのか、主人公がゴールへの道のりを踏み違えていないのも良かった。

2019年劇場鑑賞作品・・・127  アクション・アドベンチャーランキング

 

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