人気作家・横山秀夫の傑作ミステリー巨編を佐藤浩市をはじめとする実力派キャストの豪華共演で映画化したミステリー・ドラマ。監督は「ヘヴンズ ストーリー」「ストレイヤーズ・クロニクル」の瀬々敬久。
<感想>原作未読でTVドラマも見ていなかったのが悔やまれる。しかし、昭和天皇の崩御の年で、わずか7日間で幕を閉じた昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件の顛末。本作は前後編2部作の前編であり、時効まで1年と迫る未解決の少女誘拐殺人事件、通称“ロクヨン”を抱えるとある県警を舞台に描かれている。
そこへ、ロクヨンを模した新たな誘拐事件の発生で混乱が広がる中、刑事部から警務部の広報に異動になったばかりのベテラン警察官が、記者クラブとの軋轢や警察組織内部に渦巻くいくつもの対立構造に振り回され、四面楚歌となりながらも、広報官としてギリギリのマスコミ対応に奔走していくさまをスリリングに描き出していきます。
映画では、昭和64年1月5日のシーンから始まり、雨宮漬物工場から、幼い娘が元気よく家を出て行く姿が観られ、その数時間後に、自宅に娘の翔子の身代金2000万円を要求する電話が入る。警察に言ったら娘の命はないということも、しかし、父親は警察へ届けてしまい、直ちに逆探知を使って万全の手筈を整えるのだが、・・・。
翌日、犯人の指示に従い雨宮が2000万円の入ったスーツケースを持って車を走らせる。だが、指定場所に着くたびに犯人の指示が変わり、次は別の場所へと翻弄させられるのだ。そして、最後にには、橋から川に向かって金の入ったスーツケースを投げるという。
それで、翌朝には河原に車が乗り捨てられて、トランクの中からは娘の遺体が発見されるという、無残な結果に終わるリアルな描きだしに驚き、ファーストシーンで、“ロクヨン“の事件をしっかりと観客に見せつけるのだ。
14年前に刑事で少女誘拐事件に関わった三上を演じる佐藤浩市が、殆ど出ずっぱりの状態で広報課に異動になり、今回は広報官として組織の中で、情報の橋渡し的な広報官の立場を自覚し、極力自我や感情を抑えた演技をしているのが垣間見える。
その抑えた演技からは、逆に無骨な男、三上の正直な人間性が伝わってきて、家庭での父親としても娘に嫌われ家出をされて、佐藤浩市の完璧なる三上に成り切った演技が見事でした。
中でも、轢逃げ交通事故での匿名発表が、記者クラブの猛烈な反発をくらい、どうして加害者の名前を明かさないのかを迫られ、上司の一存で発表してはならぬと言われ苦しむ三上の心情が描かれている。
轢逃げの犯人は、大手企業の娘で妊婦であり、被害者は孤独な老人で身よりがいない。そんな中で、被害者が死亡してしまい遺骨の引き取り手がいない。
記者クラブでは、何故に名前を公表しないかと責め立てるも、加害者が妊娠8カ月の妊婦ということもあり、精神的打撃で出産にダメージを与えるということと、大企業の娘ということもあり、国家権力の上からの御達しで名前は公表しないでくれと命令される。
広報部に転属してきた三上としては、名前を知っていても明かすことは出来ず悩み苦しみ、結局は匿名で発表することになる。ここで、記者クラブの若い瑛太他の面々たちと対立する三上の怒りが爆発。
それに、広報部の三上の手下となる若い3人、綾野剛、榮倉奈々、金井勇太も実にいい感じで演じている。
だが、時効まで1年と迫った少女誘拐事件を忘れたわけではなく、そんな時に、警察庁長官の視察が計画される。そこで、長官と被害者の父親・雨宮芳男との面会を調整するよう命じられた三上だったが、なかなか雨宮の了承を得られず困惑する。
上司には雨宮との警察庁長官の視察が、無事に行えるようにと再三に渡って命令されており、何度も雨宮の家へ足を運び頭を下げて頼み込む三上であった。そんな中で、“ロクヨン”事件の関係者に接触していく内に、事件の闇が次第に暴かれ真相に近づいていく過程では、謎解きの面白さにのめり込みます。
現在広報官であるために、記者クラブとの確執や、刑事部と警務部の対立などに神経をすり減らす日々を送っていたその年に、「ロクヨン」を模倣した誘拐事件が発生したのには驚きましたね。それに、主人公の佐藤浩市さん始め、お偉方の三浦友和、奥田瑛二、中村トオル、滝藤、さらには、吉岡秀隆、筒井道隆など昭和の刑事役を演じた俳優陣に、特別なのは悲劇の雨宮を演じた永瀬正敏の見事な渋い被害者には納得させられた。
後編で再び、この少女誘拐殺人事件を連想させる、新たに発生した模倣犯と思われる誘拐事件の追及が加わり、一時たりとも目が離せなくなります。
2016年劇場鑑賞作品・・・92映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
<感想>原作未読でTVドラマも見ていなかったのが悔やまれる。しかし、昭和天皇の崩御の年で、わずか7日間で幕を閉じた昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件の顛末。本作は前後編2部作の前編であり、時効まで1年と迫る未解決の少女誘拐殺人事件、通称“ロクヨン”を抱えるとある県警を舞台に描かれている。
そこへ、ロクヨンを模した新たな誘拐事件の発生で混乱が広がる中、刑事部から警務部の広報に異動になったばかりのベテラン警察官が、記者クラブとの軋轢や警察組織内部に渦巻くいくつもの対立構造に振り回され、四面楚歌となりながらも、広報官としてギリギリのマスコミ対応に奔走していくさまをスリリングに描き出していきます。
映画では、昭和64年1月5日のシーンから始まり、雨宮漬物工場から、幼い娘が元気よく家を出て行く姿が観られ、その数時間後に、自宅に娘の翔子の身代金2000万円を要求する電話が入る。警察に言ったら娘の命はないということも、しかし、父親は警察へ届けてしまい、直ちに逆探知を使って万全の手筈を整えるのだが、・・・。
翌日、犯人の指示に従い雨宮が2000万円の入ったスーツケースを持って車を走らせる。だが、指定場所に着くたびに犯人の指示が変わり、次は別の場所へと翻弄させられるのだ。そして、最後にには、橋から川に向かって金の入ったスーツケースを投げるという。
それで、翌朝には河原に車が乗り捨てられて、トランクの中からは娘の遺体が発見されるという、無残な結果に終わるリアルな描きだしに驚き、ファーストシーンで、“ロクヨン“の事件をしっかりと観客に見せつけるのだ。
14年前に刑事で少女誘拐事件に関わった三上を演じる佐藤浩市が、殆ど出ずっぱりの状態で広報課に異動になり、今回は広報官として組織の中で、情報の橋渡し的な広報官の立場を自覚し、極力自我や感情を抑えた演技をしているのが垣間見える。
その抑えた演技からは、逆に無骨な男、三上の正直な人間性が伝わってきて、家庭での父親としても娘に嫌われ家出をされて、佐藤浩市の完璧なる三上に成り切った演技が見事でした。
中でも、轢逃げ交通事故での匿名発表が、記者クラブの猛烈な反発をくらい、どうして加害者の名前を明かさないのかを迫られ、上司の一存で発表してはならぬと言われ苦しむ三上の心情が描かれている。
轢逃げの犯人は、大手企業の娘で妊婦であり、被害者は孤独な老人で身よりがいない。そんな中で、被害者が死亡してしまい遺骨の引き取り手がいない。
記者クラブでは、何故に名前を公表しないかと責め立てるも、加害者が妊娠8カ月の妊婦ということもあり、精神的打撃で出産にダメージを与えるということと、大企業の娘ということもあり、国家権力の上からの御達しで名前は公表しないでくれと命令される。
広報部に転属してきた三上としては、名前を知っていても明かすことは出来ず悩み苦しみ、結局は匿名で発表することになる。ここで、記者クラブの若い瑛太他の面々たちと対立する三上の怒りが爆発。
それに、広報部の三上の手下となる若い3人、綾野剛、榮倉奈々、金井勇太も実にいい感じで演じている。
だが、時効まで1年と迫った少女誘拐事件を忘れたわけではなく、そんな時に、警察庁長官の視察が計画される。そこで、長官と被害者の父親・雨宮芳男との面会を調整するよう命じられた三上だったが、なかなか雨宮の了承を得られず困惑する。
上司には雨宮との警察庁長官の視察が、無事に行えるようにと再三に渡って命令されており、何度も雨宮の家へ足を運び頭を下げて頼み込む三上であった。そんな中で、“ロクヨン”事件の関係者に接触していく内に、事件の闇が次第に暴かれ真相に近づいていく過程では、謎解きの面白さにのめり込みます。
現在広報官であるために、記者クラブとの確執や、刑事部と警務部の対立などに神経をすり減らす日々を送っていたその年に、「ロクヨン」を模倣した誘拐事件が発生したのには驚きましたね。それに、主人公の佐藤浩市さん始め、お偉方の三浦友和、奥田瑛二、中村トオル、滝藤、さらには、吉岡秀隆、筒井道隆など昭和の刑事役を演じた俳優陣に、特別なのは悲劇の雨宮を演じた永瀬正敏の見事な渋い被害者には納得させられた。
後編で再び、この少女誘拐殺人事件を連想させる、新たに発生した模倣犯と思われる誘拐事件の追及が加わり、一時たりとも目が離せなくなります。
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