パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

楽園★★★

2019年10月30日 | アクション映画ーラ行

「64-ロクヨン-」「友罪」の瀬々敬久監督が吉田修一の短編集『犯罪小説集』を映画化したサスペンス・ドラマ。閉塞した田舎町を舞台に、12年の時を経て同じY字路で起こった2つの事件によって人生を大きく狂わされた3人の男女の過酷な運命を描く。主演は綾野剛、杉咲花、佐藤浩市。共演に柄本明、村上虹郎、片岡礼子、黒沢あすか。

あらすじ:田園が広がるとある地方都市。ある日、地域の顔役である藤木五郎の孫娘・愛華がY字路でこつ然と姿を消す事件が起きる。必死の捜索もむなしく、愛華が発見されることはなかった。それから12年後、愛華の親友でY字路で別れる直前まで一緒だった湯川紡は、いまだに罪悪感を拭えずにいた。彼女はひょんなことから地元の青年・中村豪士と知り合い、心を通わせていく。ところがある夜、再びY字路で少女の失踪事件が発生し、住民たちは12年前にも怪しまれた豪士への疑いを強めていく。そんな中、都会から地元へ戻ってきた田中善次郎は、万屋として村人の力になる一方、よかれと思って村おこしの実現に奔走するのだったが…。

<感想>ひとすじの光を君にみた――真実なんて何の役にも立たないと思える時代に、真実を照らしてくれる声ってあるんだなと思いました。12年前と同様の少女の失踪事件に翻弄されていく人々を描くミステリー。

実際に起きた犯罪をヒントにして書かれた短編集「犯罪小説集」の中の、二編を組み合わせた映画であります。原作は読んでいませんが、監督と脚本は瀬々敬久、という時点で、八割がた間違いないだろうと予想していたが、鑑賞したら十割を軽く越えていたのに驚く。

「地方」「高齢化」「過疎」「移民」「貧困」そして「村八分」「犯罪」「被害者」「加害者」などと、人間の残酷さと弱さ、愚かさが浮き彫りになってゆく。そんな世の中だからこそ自分の「楽園」を求めて生きろ、という作品のメッセージを背負う杉咲花の繊細さと野性味を兼ね備えた存在感は、焼け野原に一輪だけ咲くシロツメクサのようだった。

彼女に想いを寄せる青年のアプローチが、ほぼストーカーの発想であるなど、そこかしこに人間の恐ろしさが垣間見えるサスペンスになっていた。ですが、細密で生々しく、かつきっちりと「映画」として描かれて行く様は、本当に圧巻でした。

この映画を観て感嘆したのは、顔、顔、役者の表情でしたね。驚きや、怒りや悲しみや絶望、混乱や狂気など、つまり感情が振り切れた瞬間の表情がすごいのだった。どの人も、という瞬間、人間は本当にそういう顔をするものなのかどうかは、知らない。意外とぼ~っと無表情になったりするのかもしれない。

「リアル」と「リアリティ」は違うので、本当にどの役者も、「表情で何かを訴える、伝える」ことの最上級だろう。

どういう演出をしたらば、ああいう表情の顔を引き出せるのだろうか。ベテランの柄本明に佐藤浩市はもちろんとして、綾野剛、杉咲花も一歩もひけをとっていない。個人的には、佐藤浩市に感情移入しすぎてしまい、後半部分はヤバイ雰囲気でした。

まず、1人目は綾野剛演じる中村豪士。大人しくて、暗い性格で、喧嘩を仕掛けられても弱くてやられてしまうのだ。それに、喧嘩相手に対しても文句の一つも言わない、おとなしい性格で見た目が、頭が弱い感じの男。母親がフィリッピン人みたいな、父親はいないし、母と息子の二人でバックや、古着とか何でも屋をしている。

そんな性格だから、村の人たちからは豪士が怪しいと疑われる。そのことを気にして根に持ったのかどうかは知らないが、町のソバ屋で自分の身体に灯油をかぶり、火をつけて店まで焼いてしまうという、おどろおそろしい最後を見せつける。

もう一人目は、都会から地元へ戻ってきた佐藤浩市演じる田中善次郎。養蜂業を営み、何でも屋をしていて、村おこしに一役かっているのだが、それが裏目に出てしまい、村八分のような感じになってしまう。妻と娘を家の火事で亡くしてしまい、独り身で一軒家に住んでいる。

山の桜の苗木とかを取って来ては、自宅の庭に植えて、何時の日か村に桜の木の名所にでもするかのように頑張っていた。それなのに、村の人たちは田中善次郎と、夫に死なれた未亡人の片岡さんと露天風呂に入るシーンがあり、お互いに好意をよせていい感じの中になるのだが、しかし些細なことから村中の非難を受け、村八分状態にされてしまった善次郎は狂気に陥り、恐るべき事件を引き起こす。

 大雨の夜に、崖崩れが起きて、善次郎の家の庭木と土が掘り起こされ、そこから人間の骸骨がたくさん出てきたのだ。そう、犯人は大人しい人間だと思っていた田中善次郎だったのですね。

人はなぜ罪を犯すのか、そしてなぜ自分だけが生き残ってしまったのか。それぞれの人生が交錯するとき、物語は衝撃のラストへと導かれていく。

2019年劇場鑑賞作品・・・161  アクション・アドベンチャーランキング

 

 映画に夢中

 

  トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ

 トラックバックURL : https://koronnmama.exblog.jp/tb/30881461