パピとママ映画のblog

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白雪姫と鏡の女王 ★★★

2012年09月15日 | さ行の映画
ジュリア・ロバーツが初の悪役に挑んだ、女王様の視点で描いた「白雪姫」。美貌の衰えに焦る女王が白雪姫をいじめまくる。野心家のお妃は、国王が亡くなると自ら女王となり、ドレスや宝石で快楽を貪っていた。ある日、道に迷った若い王子が城に参上する。国の財政難に、老後を不安に思っていた女王は、お金目当てに結婚しようと策を練る。「白雪姫」のピュアな物語も、女王目線になると、途端に物欲まみれのコメディに。自分丸出しのわがままな女王は人間臭く、思わず「よく言った!」と拍手したくなる名台詞も。監督は、『ザ・セル』のターセム・シン・ダンドワール。彼の作品を手がけてきた石岡瑛子が衣装を担当しており、本作が遺作となった。

あらすじ:国王の死後、白雪姫の継母は、娘を部屋に閉じ込めて世間知らずに育て、自ら「おとぎの国」の女王となって、贅沢三昧の暮らしをしていた。おかげで国の財政は破綻し、国民は食べるものもない。外出を禁じられた白雪姫は、姿も心も美しい娘に成長したが、世間を知らない箱入り娘になっていた。ある日、女王の目を盗んで城の外に出てみると、そこにいたのは飢えに苦むたくさんの人々。「国民を救わなくては」。白雪姫は立ち上がった。(作品資料より)

<感想>春に公開された「スノーホワイト」に続いての「白雪姫と鏡の女王」。これは劇場で見なくてもと思ったのだが、かの有名な石岡瑛子さんの衣装が最後の作品となれば見ないわけにはいくまい。
女王役のジュリア・ロバーツによる「これは白雪姫じゃなくて、お妃の物語。この世で一番美しいのは、まぁ、当然私ね」という、お寒いナレーションで始まってどうなることやらと思いましたが、7人のリアルな小人たちや、舞踏会シーンでは石岡瑛子さんらしい奇抜な発想の衣装が動き始めると、一気に悪趣味スレスレな愉快さに包まれます。
本作でのコスチュームデザインが遺作となった石岡瑛子さんは、本来はファッションデザイナーではなく、幅広い美術の一分野として衣装も手掛けるアーティストなんです。小人俳優たちが魅力的にキャラ立ちしているのも、石岡さんのデザインによる狼の毛皮をかぶった小人や、ナポレオンをなぞらえた小人の衣装を楽しんで作ったからでしょう。

そして舞踏会のシーンにも目が釘付け状態になりますよ。鏡の女王の衣装にはスワロスキーが目いっぱい施された真っ赤なドレスに孔雀の羽根をあしらって、白雪姫には白鳥の頭をかぶせて、鹿やウサギといった様々な動物をイメージし、ナチュラルなきなり色で統一した森ガール的キュートさと共に、ぎょっと驚くセイウチの口元だけをモチーフにした破天荒な衣装のエキストラもいたり、美とグロテスクが象徴的だった石岡さんが、可愛らしさと笑いに展開した新たな世界がありました。

また王子様役のアーミー・ハマーの絵に描いたようなアホっぷりもいい感じで、鏡の女王に惚れ薬を飲まされものの、誤って子犬用の惚れ薬だったため、「キューン」と鳴きながら発情した犬芝居を堂々と演じてくれます。小人たちがその魔法を解こうとしても、王子様を小人たちがタコ蹴りにするなど、超ベタなギャグもてんこ盛り状態。
最初は、いつものターセムと違うと困惑しつつも、観ているうちにだんだん頭のチャンネルが合って来て、このベタさ加減が心地よく笑えてきた。そう、これはターセム流の吉本新喜劇だと思えば、皮肉などじゃなくて新喜劇に登場するギャグは、観る側が合わせればガチハマリする状態になる。間違っても「スノーホワイト」と比べてはいけません。だから、小人たちやハマーが何かする度に笑いが止まらなくなってくる。

また、リリー・コリンズ(フィル・コリンズの娘)演じる白雪姫が小人たちから、マーシャルアーツを学び、王子の助けを待つのではなく自分の力で、魔女の呪いを解きに行く鮮やかな女剣士になるのも楽しいですね。
まゆ毛の濃いリリー・コリンズは、まるでヘップバーンのような美しさと、元宝塚の大地真央のような雰囲気で、ラストで一気にインド映画のように、ハイテンションさで歌いまくる。やはりインド出身のターセム監督だからなの、これが上手いので違和感なし(苦笑)
もちろん最後まで、小人さんらしさを活かした活躍ぶりも、もち毒りんごのシーンも有りで、鏡の女王が婆さんになって黒いマントで現れてもどうってことないです。ハッピーなコメディ映画と思えば、騙されたと思って観てはいかがでしょう。
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