パンフルートが自然の質量に近い状態にあるということは当然自然の影響をモロに受け止めるということで柔らかい
音のパンフルートは最低季節ごと、できたら月1の音程チェックは欠かせません。
パンフルート工房では利便性にとらわれず「人の声に近い音」「柔らかくほのぼの感のある音」を追求しています。
「1度合わせたら絶対狂わない音程の安定した楽器はないのか」「月に1度のチェックなんてそんな面倒なことは
できない」と言われる方は、どうぞほかの工房の分厚いニスを塗った固い音の出るパンフルートか金属製・ビニール
製のパンフルートを入手されてください。
ただし音程が狂わないということは年中一定の音質であり、揺れのある季節ごとの空気感を出すには向きません。
音程が狂いやすい要因は幾つか考えられますが、最大の要因は管の肉厚を構成する物質が生きていて呼吸をし自然環境
にさらされていることです。
例えばビニール管は数十年単位で変化し、竹は1日で組織内の水分含有量が変化するというものです。
竹や木でパンフルートを作る時その変化を先延ばしするよう製作者はニスを表面(外壁・内壁)に塗り付けますが、
ニスと言えども液状のものが個体になる時、液は蒸発し中は気泡だらけになって空気は簡単に通り抜けます。
環境変化を少なくしようとすれば何回も塗り重ねニスを分厚くすれば良いのですが、音はしだいに固くなり金属音の
方に近づいてしまいます。
ここで製作者はどの音バランスを保つか選択を迫られるわけですが、私は自然派志向で薄化粧を選びます。
当然外気の影響を受けやすく調律も頻繁に行わなくてはならないのですが、柔らかい音に勝るものはありません。
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