ぶらぶら人生

心の呟き

「フウセントウワタ」 1 (花と実)

2007-07-31 | 身辺雑記

 昨夕、夕翳る道を買い物に出かけた。
 午前中は、ぼんやりと過ごし、午後は幸田露伴関係の書をとりとめもなく読み、ふっとわれに返って、食材の乏しくなっていることに思い至ったのだった。
 <スタミナ、スタミナ! 夕ご飯くらい、きちんと食べないとな>と呟きながら、お店に向かったのだ。
 家は少し高手にあるので西日をまともに受けていたが、国道に出ると、太陽は山の背に隠れ、歩道は陰になっていた。夕風が吹いて、蜩の鳴きやまぬ道は、妙に淋しい。

 持ち重りしない程度の買い物をし、その朝も理由なく散歩をサボってしまったので、少し遠回りして帰ることにした。
 田圃の道を通り、山陰本線の鉄路を跨いで、知人のTさん宅の傍を通った。
 夕方の七時近くだったし、声をかけずに帰るつもりだった。が、偶然、Tさんが庭に居られ、つい仕事のお邪魔をしてしまった。
 
 その庭で、不思議な植物を見つけた。Tさんも、正式な名前は分からない様子だった。
 活け花にも使われ、花材として求めれば高値のする植物だと聞いた。

 父の残した植物の本の『洋花』『和花』(講談社)は、<花の事典>とはなっているが、中を見ると、花の紹介と同時に、活け花のための指南の書ともなっている。活け花にも使われる花と聞いたので、帰途、あの本には出ているだろうな、と思った。

 先刻、やっと本を開いてみると、予想通り載っていた。
 Tさんが、「トウ(唐)」が付いていたようなと言われたとおり、その名は「フウセントウワタ(風船唐綿)」であった。別名「フウセンダマノキ(風船玉の木)」ともいうそうだ。
 どうせ覚えられはしないが、学名は「ゴンフォカルプス・フルティコスス」の由。

 花もかわいい。いくつもの花が寄り集まって咲き、白い花冠は少々反り返り気味になっていて、中心の淡紫色が目立つ。本によれば、それは副花冠なのだそうだ。
 薄緑色の実は、まさに風船だ。
 花から実への移ろいの様も見てみたい。小さな風船が、やがて膨らんでゆくのだろうか?
 一度見たら忘れられない植物である。(写真 花と実) 

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