差し出された
ジャケットは
寒さに震える少女の
からだにかけられた
御嶽山の山頂の
危機迫る
噴火の中で
見知らぬ青年の
見知らぬ少女への
さりげない行為
ほんとうの
やさしさとは
そのようなものだろう
遠い昔
お寺に詣でた日を思い出す
長い石段をのぼるとき
老いた父にそっと手を添えたのは
甥のYだった
まだ中学生の
そのやさしさに
私は感心し
その光景を忘れない
ほんとうのやさしさは
他人(ひと)の心に
小さな、しかし消えることのない
灯をともす
(タブレットのメモより)
追記― 10月26日朝 ― (昨夜読んだ本より)
優しさというのは、喧嘩しないとか、おとなしいというのとは違うのよ。
相手の気持を忖度(そんたく)出来るっていうのは、優しさの条件でしょう。
佐藤愛子の箴言集『ああ面白かったといって死にたい』より
花壇に自生したタマスダレ(撮影 10月22日)
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