ぶらぶら人生

心の呟き

3月の庭 (再 <丁子恵美>さんの作品)

2014-03-15 | 草花舎の四季
 昨日、郵便局へ出かけた後、草花舎で食事をした。

     

 前日来、天候が定まらない。
 昨日も、傘の手放せないお天気であった。
 食後、庭歩きはせず、丁子恵美さんのガラス作品の一つ一つをを見て回った。
 常識的ではない形なのに、不思議な調和がある。施された色にも。

 今回は、場所を得れば、さらに個性を発揮しそうな、見ごたえのある大きな器たちを紹介する。

  
   

   

   

   

    
                                  お雛様


          

 昨日は、ちょっと変わった読書をした。
 草花舎の書架から取り出した本は、絵本であった。
 『わすれられないおくりもの』 (スーザン・バーレイさく え ・小川仁央やく)

       
             
                     表紙

   
  最初のページ(老いたアナグマ)・ 最後のページ(亡くなったアナグマに「ありがとう」を言うモグラ

 この本は、幼い子どもの心にどう響くのだろう? などと考える前に、大人の私の心が揺さぶられた。
 昨夜、就寝前、ベッドで目を閉じたときにも、アナグマの静かな最期をの姿を思い浮かべていた。

 このお話は、衝撃的にも、年老いたアナグマの安らかな死から始まる。
 死期を悟っているアナグマは、静かな最期を迎える。
 お別れの手紙を書き、愛用のゆり椅子に腰かけ、やがて眠る。
 夢の中で、アナグマは長いトンネルを抜け、晩年愛用の杖も必要でなくなり、自分の足で軽やかに走り続け、やがて浮き上がるような浮遊感を覚えて自由になる。
 アナグマの安らかな死である。

 これは、大人の読むべきお話ではあるまいかと思う。
 大人でも、私のように年老いていればなお、最初の場面に描かれた死のイメージは、至福の出来事に思える。
 この場面を読んだだけでも、満足である。

 が、このお話は、<わすれられないおくりもの>なのだ。
 アナグマからいろいろなことを学んだ森の動物たち、キツネ、モグラ、カエル、ウサギなどは、アナグマを失って、深い悲しみにすずむ。
 しかし、春の訪れるころには、アナグマと一緒に暮らしていた間に、アナグマから受け取った、愛の溢れた贈り物の存在に気づく。そして、悲しみは感謝に変わってゆくのである。

 小さなお話だが、意味は深い。
 平和な社会の理想郷みたいだ。
 私はアナグマのようには死ねないのかな。
 生前の善行がないからなあ、と考えてみたりする。

 とにかく、一読後、「ハイ、さようなら」とは言えない、深い味わいを残す、いい本だ。 
コメント
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