26日に、アマゾンへ注文した『吉野弘全詩集』が、29日の昼前の届いた。
以来、気ままに、著名な詩を読み返したり、知らなかった多くの様々な詩との出会いを楽しんでいる。
詩人・吉野弘さんの生涯が詰まった、重い詩集である。
今朝、目に留まった詩。
新しい旅立ちの日
誕生まで
私は母と臍の緒で結ばれていた
満ち足りて。
産婆さんが駆けつけた日
私は母から あっさり引き離され
誕生の日付と 新しい臍の緒を
私は贈られた
『吉野弘(一九二六~ )』
というふうに
不安な空白を 更にその下に吊って。
けれど案ずることはなかった
見えない「わが死の母」は
すぐに私を拾い上げ
私に豊かな栄養を賜ってきた
この異な絆を通じて。
生涯の終り
私が完璧な死に成熟した日
「わが死の母」との強い絆も
おのずと切れる。
その日
私の新しい旅立ちの日を
かのやさしい手は
鮮やかに書きしるすことだろう
とっておきの あの空白の部分に。
詩集『感傷詩集』の最後尾の詩
新しい旅立ちとは、人生最期の日。
<不安な空白>の日が、1月15日に、二○一四と記される日が来て、詩人・吉野弘はこの世を去られた。
読む人の心に迫る、多くの詩を残して。
私は1933生まれである。
(1933 ~ )の、空白を埋める数字のことをぼんやり考える。
今日は、1月31日。
睦月、最後の日。
白内障手術(左眼)に、今から出かけなくてはならない。
以来、気ままに、著名な詩を読み返したり、知らなかった多くの様々な詩との出会いを楽しんでいる。
詩人・吉野弘さんの生涯が詰まった、重い詩集である。
今朝、目に留まった詩。
新しい旅立ちの日
誕生まで
私は母と臍の緒で結ばれていた
満ち足りて。
産婆さんが駆けつけた日
私は母から あっさり引き離され
誕生の日付と 新しい臍の緒を
私は贈られた
『吉野弘(一九二六~ )』
というふうに
不安な空白を 更にその下に吊って。
けれど案ずることはなかった
見えない「わが死の母」は
すぐに私を拾い上げ
私に豊かな栄養を賜ってきた
この異な絆を通じて。
生涯の終り
私が完璧な死に成熟した日
「わが死の母」との強い絆も
おのずと切れる。
その日
私の新しい旅立ちの日を
かのやさしい手は
鮮やかに書きしるすことだろう
とっておきの あの空白の部分に。
詩集『感傷詩集』の最後尾の詩
新しい旅立ちとは、人生最期の日。
<不安な空白>の日が、1月15日に、二○一四と記される日が来て、詩人・吉野弘はこの世を去られた。
読む人の心に迫る、多くの詩を残して。
私は1933生まれである。
(1933 ~ )の、空白を埋める数字のことをぼんやり考える。
今日は、1月31日。
睦月、最後の日。
白内障手術(左眼)に、今から出かけなくてはならない。