ぶらぶら人生

心の呟き

燕の親子

2010-06-24 | 身辺雑記
 親戚から訃報が届き、香典を郵送するため、郵便局に出かけた。

 「燕が孵りましたよ、4羽、いそうです」
 局員のKさんが、入り口を指さして言われた。

 私は不審に思った。
 前回、局に行ったときには、入り口に、巣づくり用の板が取り付けてなかったからだ。
 それなのに燕がいる?
 私の訝る様子をみて、
 「裏の電線で、鳴きやまぬ燕がいたんです」
 と、言葉少なにKさんが言われた。
 
 昨年の燕が帰ってきたのだろうか。そして、<わが家はどうなったんだ!?>と、哀訴し続けたのだろうか。
 局の人たちは、その燕に憐憫の情を覚え、昨年同様、巣づくりの板を取り付けられたらしい。
 早速、燕は巣をかけ、雛を孵したのだ。

 巣のなかの雛を見上げていると、局の女性職員が、小さな脚立を持って来てくださった。
 「上がってみてください。支えていますから…」
 と、勧められたが、脚立に上がるのは怖かった。
 一旦は試みたものの足元があやしく、シャッターを押せそうにもなくて諦めた。

 局員と一緒に、雛のいる巣を見上げた。
 まだ幼い雛だ。
 初めは親を待ち顔に首を伸ばしていた子燕が、急に身を潜めた。
 私たちを警戒しているらしかった。
 「親燕が電線にいます」
 局員に言われてみると、一羽の親鳥が、落ち着きなげに様子を伺っていた。
 私たちがじっと息を潜めていると、親は安心したのか、旋回して巣に止まった。(写真)

 子燕の二羽が大きく口を開いた。が、賑やかなに餌をねだる声がない。
 小さすぎて、まだ声が出ないのだろうか?
 私たちを警戒し、声を潜めていたのだろうか?

 何となく不安を覚えた。
 しかし、誕生にはすべて希望である、そんなことを思いながら、帰途に着いた。

       
コメント (2)
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