ブルーベルだけど

君にはどうでもいいことばかりだね

秋から始まった物語 その6

2010-10-03 00:46:45 | 日記
1995年のある日。 TVKを見ていたら “ 案山子になった Jack-o'-Lantern ” のような Ritchie の姿が目に飛び込んできた。 お馴染み、ウドー音楽事務所のCMだ。 既に無味乾燥な存在の再結成 DEEP PURPLE に食傷気味になっていた僕の心が、久しぶりに躍り出す。

いつの間にか Ritchie はライブで足がおぼつかなく、アクションどころかほとんど動かなくなっていた。 この作品は、既にピークを過ぎて久しくなった孤高のギタリストの、言わば超新星爆発と言える。 悲しいけど Ritchie は、この名盤を残してロックシーンから姿を消した。

特に好きなのは1曲目、3曲目、5曲目。  9曲目、10曲目はあまり好きじゃないけど・・・。

    1:Wolf to the Moon
      良質な歪みがかかった図太いボトルネックで始まるこの曲は、 澄み切った
      秋の空を連想させる。 一聴して Ritchie だと分かる、周波数特性で 2箇所
      に深いディップのある独特のトーンはそのままに、程よくコントロールされた
      サウンドは素晴らしい。 Marshall 信者の僕にはちょっと残念だけど、ENGL
      への変更は正解なんだろう。  凛々しく孤独なメロディ、ブレイクから始まる
      ギターソロは、Yngwie に象徴される早弾きが当たり前の時代にあってなお、
      それらを超越し、ドラマチックだ。  CD として全体に歪みが多く、 最高域も
      劣化欠落した音の悪さなど どうでも良くなる。 ふと青空を見上げた瞬間の
      ようなソロのエンドから、 荒々しいカッティングで締めくくられるエンディング
      まで一気になだれ込む。 
    3:Hunting Humans
      大地を這うような低音と SE を多用したイントロから始まるこの曲は、単純な
      コードワークが美しい。 フロントからリアに切り替えた際のアノ変化に思わず
      ニンマリしてしまう。 エンディングの余韻は晩秋の風の音をイメージさせる。
    5:Ariel
      このアルバムの最高傑作。 元々は Blackmore's Night に似合う、アコース
      ティックな曲想だったところ、見事に昇華している。 PV ではエンディングの、
      Candice Night によるコーラス部分から始まる形式に編集されていた。 この
      曲で繰り広げられる、ピックアップの切り替えによるニュアンスコントロールは
      素晴らしい。 ボトルネックソロの美しさは妖しさを纏い、絶頂後のブレイクに
      続く、もの悲しげな例のコーラスをバックに奏でられるギターの美しさは孤独
      さを極め、あたかも廃墟で遥か昔を回想しながら寂しげに吹く口笛のようだ。
    9:Hall of the Mountain King
      大胆なアレンジで、原曲とは別モノに仕上がっている。 お得意の 5 ~ 6弦
      のベース音ピッキングは退屈で、 スタジオ版 Highway Star のそれのように
      僕は弾いてしまう。 作品自体はあまり好きじゃないけど、酔っ払って弾いて
      ソロの音を外すと、ベランダにいた 2人の子供が笑っていたのを思い出した。
    10:Still I'm Sad
      イントロのソロも、スピード感を欠くアレンジも好きじゃない。  唯一、抑揚の
      効いたソロが好きでよく弾いている。
コメント
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