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アーノルド・バックスの「ティンタジェル」、横浜から和田町、ハリエット・コーエンとの愛

2007-10-24 05:51:47 | アーノルド・バックスの作品
昨日は、横浜駅から和田町駅まで歩きました。
今回からは、いよいよイギリスの管弦楽曲の世界に入る。
途中聴いたのは、1883年生まれのアーノルド・バックスの曲。
彼は、ロンドン南部のストレーサム出身で、
裕福な中産階級の家庭に生まれたようだ。
発育期にあたる時期の多くは、
ハンプステッド・ヒース近くで過ごし、
ロンドン北部にある家は、広大な庭を持っていたようだ。
CDの英文の解説には給料を得る職業に就く必要はなく、
いつでも不労所得があり裕福だったことが書かれている。
1902年王立音楽院の学生だった時期に、
イェーツの長編の物語詩「アシーンの放浪」を読み、
ケルトの神話に興味を持ったようで、
アイルランドに渡り、特にドニゴール州の
グレンコラムキラ(グレンコラムキル、Glencolumcille)という
海沿いの村が気に入ったらしく、30年間頻繁に往来し、
多くの作品をここで書き上げたと解説では述べている。
最初はピアノ作品を作曲していたが、
のちに管弦楽曲に手がけるようになったようだ。

「ティンタジェル」は1917年から1919年の間に作曲された。
彼の作品の中ではよく知られた作品のようだが、
英文の解説によると初演は1921年10月ボーンマスで、
指揮はダン・ゴッドフリーであったようだ。
ティンタジェルは、コーンウォールの北の海沿いにあり、
大西洋を見晴らすことのできるこの地には、
荒廃したティンタジェル城があるようだ。
アーサー王の物語ともゆかりのある場所だ。
(時代的には関係はあまりなさそうだが)
神話的な世界と断崖にそそり立つ雄大な絶壁の風景、
そしてうちよせる波と強い風が音楽で描写される。
ワグナーの「トリスタンとイゾルデ」からの
一部引用も曲中にあるようだ。

バルビローリ指揮、ロンドン交響楽団のCDを聴いた。
高校生の時、初めてバックスの作品を知ったのが、
バルビローリ指揮、ハレ管弦楽団の「ファンドの園」だった。
ここは、そのバルビローリに敬意を称して。
彼自身バックスの音楽に関心を寄せていたようで、
1927年1月にロマンティック序曲を初演している。
1930年3月には、序曲、哀歌とロンドを初演したが、
この時は演奏会の数日前にスコアが紛失したものの、
バルビローリはそのスコアがなくとも、
無事リハーサルと初演をこなせるほどに
その音楽を覚えていたというからエライ!
ちなみに「ティンタジェル」の演奏については、
家に帰ってからブライデン・トムソン指揮のCDを聴いたが、
こちらの方が演奏はいいと思う。

ピアニストのハリエット・コーエンと1912年に会い、
第一次世界大戦中に彼女にますます惹きつけられた彼は、
1917年になると彼女か、それとも自分の妻と子どもを選ぶかを
選択しなければいけない事態になるまで、
彼女に夢中になってしまったようである。
いわば不倫の恋愛関係にあった彼は彼女と、
1917年夏の6週間ティンタジェルに一緒に過ごしたようだ。
甘い二人の間のロマンスがあったのだろう。
だからこの曲はロマンティックであるのかもしれない。
「最愛のターニアへ、アーノルドから愛をこめて」
彼は楽譜にこのように書き彼女にこの曲を捧げたらしい。
もちろん、ターニアはハリエット・コーエンのことである。
きっとバックスは「トリスタンとイゾルデ」の話と
二人の現実の愛を結びつけ、
ティンタジェルに滞在したに違いない。

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