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ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの「血の声(ヴォイス・オブ・ブラッド)」を聴く

2011-12-18 14:31:10 | 中世・ルネサンス音楽声楽曲・合唱曲編
昨日は飲み会でウォーキングを休みました。
今回とりあげるのは、1098年生まれのヒルデガルト・フォン・ビンゲンの声楽曲。
「血の声(ヴォイス・オブ・ブラッド)」の作曲時期は不詳である。
聴いたCDはセクエンツィアの演奏による。
最初の「おお血の赤さよ」は、独唱による歌によるもので、
聖女ウルスラへのアンティフォナで、幻想的な感じのする音楽である。
続く「したたる蜂蜜は」は、合唱で歌われる単旋律によるもので、
聖女ウルスラと一万一千人の処女へのレスポンソリウムとなっており、
宗教的な神秘さを感じさせる深遠な感じのする音楽である。
3曲目の「三位一体に賞賛あれ」は、独唱により歌われる。
三位一体を讃えるアンティフォナであり、短いがやはり神秘さが漂う。
4曲目の「朝課の賛歌」は、独唱に続き、他が加わって全体で歌う曲で、
聖女ウルスラの祝日用の聖務日課であり、8つの部分から成っている。
それぞれの部分の終わりで「アーメン」が入ってくる。
5曲目の「おお教会よ」は、独唱により歌われ、合唱全体の歌と、
交互に繰り返されていく聖女ウルスラへの自由なセクエンツィアである。
6曲目は器楽曲で、ポルタティーフ・オルガンの伴奏の上で、
フィドルが穏やかな旋律を奏でる曲で、ヒルデガルトの
「おお,緑に輝く若枝よ」に基づいた旋律を使っているようだ。
即興的な演奏もまじえ、いきいきとした感じの中世音楽を聴かせてくれる。

7曲目は「おお永遠の神よ」で、独唱から始まる短い歌で、
御父たる神へのアンティフォナである。
8曲目「おおいと甘き恋人よ」も、最初が独唱で始まるが、
そのあと合唱が入り、交互に歌うようにしながら展開していく。
処女たちのシンフォニアで、美しい旋律が印象的である。
9曲目の「われらの王は速やかに」は、フィドルの伸ばす音に、
合唱と独唱で歌う罪なき者へのレスポンソリウムである。
10曲目「おお高みで響く血の流れ」は、
独唱の歌で始まり展開されるアンティフォナである。
11曲目は聖ウルスラへの歌で、合唱で歌われる単旋律による歌である。
「ウルスラの血の声と」という題で、美しい宗教的な旋律である。
12曲目の器楽曲は、フィドルの奏でる旋律から始まる。
ヒルデガルトのD旋法に基づくもののようで、
途中からポルタティーフ・オルガンも加わり、軽快に展開されていく。
13曲目「おお処女たる教会よ」は、フィドルの伸ばす音に乗って、
合唱が歌いだす教会へのアンティフォナで、
最後はフィドルの即興的な独奏が入り、静かに終わる。
14曲目「今や教会の母なる心は喜ばん」は、合唱により歌われる。
前曲と同じく教会へのアンティフォナで、上下に速く動く音が、
深遠で神秘的な部分を感じさせてくれる短い曲である。
15曲目「おお測り知れぬ教会よ」は、
やはり同じく教会へのアンティフォナである。
合唱による単旋律の歌は素朴であり、
信仰の深さがこのような音楽を生み出したのだろう。

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