そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

TPP合意をひた隠す安倍政権

2015-12-12 | TPP
TPP(環太平洋連携協定)”大筋”合意という、あいまいな言葉がこの国に飛び交って、なんとなく日本が有利なように決着したような風潮をマスコミは流している。実際にはかなり詳細なところまで合意しているのである。
それを裏付けるのが、TPP担当大臣の甘利の発言である。TPP「合意」文書は、英文で2000ページを超えるものが存在する。ところが日本には、僅か97ページの概要が提出されているだけである。
実際、私の拙い英語力で英文の記事を読んでみても、”大筋”という言葉は見当たらない。TPPはすでに合意しているのである。その事実を覆い隠すために日本語に翻訳しないのであり、”大筋”という言葉を冠したのである。事実個別の製品に関しては小出しの情報がサミダレ的にリークされている。
以下は、かなり長いのであるが東京大学、鈴木宣弘教授の文章を読んでいただきたい。関係者や興味のある方は是非読んでいただきたいものである。(『マスコミに載らない海外記事』さんより引用)

隠され続けるTPP合意の真実と今後の対応策
           東京大学教授 鈴木宣弘

どこまで国民を欺くのか~TPP合意の政府説明の異常

 米国では、TPPの影響試算を出し、それに基づいて議会で議論する手続きと日程が明示されているのに、我が国では、TPP協定の日本語版も国民に示さず、影響試算もいつ出すか曖昧にされたまま、国会決議を守ったと強弁するための国内対策だけが先に示され、しかも、関連団体から要望を聞いたふりをしただけで、対策も半年以上前に決まっていた。政府が考えている以上のセーフティネット政策の必要性を要請項目に挙げた団体には、政権党の幹部が激怒し、役所を通じて、政府が考えている以上のことを要請するなと事前に要請事項の削除を迫るという、信じられない「暴挙」が行われた。
 6,000ページに及ぶ協定の日本語版がそのうち出されたとしても、その条文の背景説明を求めると、交渉過程は4年間秘密なので説明できないとの回答が返ってくるだろう。そして、どさくさに紛れて批准してしまうという、こんな異常な手続きが「民主主義国家」で進められている。

米国の「草刈り場」日本

 TPP(環太平洋連携協定)が合意に達したとされたアトランタ会合で、日本は、決着することを目的化し、合意のためには何でもする「草刈り場」と化して、他の国が「よくそこまで譲れるね」というほどに譲歩を一手に引き受けた。
他の国が医薬品の特許の保護期間などで最後までもめたら、どちらともとれる表現を提案し、火種を残したままでも、とにかく合意した形を作ろうとした(現に、豪州政府の「成果:バイオ医薬品」によると、『重要なことは、この規定は、豪州の現在のバイオ医薬品に関する5年間のデータ保護又は我々の健康に関する制度の他の部分は、一切変更しない、従って医薬品のコストは増大させない」と発表し、米国が反発している(JC総研木下寛之顧問による))。
 日本政府は、自動車での利益確保に、ハワイ会合を決裂させるほどにこだわった(ハワイ会合の「戦犯」は本当は日本だった)のに、アトランタでは、それさえ差し出した。TPP域内での部品調達率が55%以上でないとTPPの関税撤廃の対象とならないとする厳しい原産地規則を受け入れたが、TPP域外の中国やタイなどでの部品調達が多い日本車はこの条件のクリアが難しくなっている。また、米国の普通自動車の2.5%の関税は15年後から削減を開始して25年後に撤廃、さらには、メディアも意図的に報道しなかったが、大型車の25%の関税は29年間現状のままで、30年後に撤廃するという気の遠くなるような内容である。
「農林水産業への影響は軽微のウソ

 農林水産物で「重要品目は除外」と国会決議しながら、重要5品目に含まれる関税分類上の細目586品目のうち174品目の関税を撤廃し、残りは関税削減してしまい、自動車ではほとんど恩恵がないという合意内容で、日本の経済的利益を内閣府と同じGTAPモデルで暫定的に試算してみると、控えめに推定しても、農林水産物で1兆円、食品加工で1.5兆円の生産額の減少が生じる一方、自動車でも、むしろ生産額の減少が生じ、全体で日本のGDP(国内総生産)は、わずか0.07%しか増加しない可能性がある。

表1TPP「大筋合意」の日本経済への影響の暫定試算

        「大筋合意」 全面関税撤廃
GDP増加率     0.069% 0.184%
GDP増加額    0.5兆円 1.3兆円
農林水産生産増加額 ▲1.0兆円 ▲2.1兆円
食品加工生産増加額 ▲1.5兆円 ▲2.1兆円
自動車生産増加額 ▲0.4兆円 2.8兆円

資料:GTAPモデルによる東大鈴木研究室試算。

注 関税、輸入制度、原産地規則等の変更に伴う影響を試算したもの。内閣府が算入した「生産性向上効果」(価格下落と同率で生産性が向上)及び「資本蓄積効果」(GDP増加と同率で貯蓄が増加)は未考慮(GTAPモデルは国産品に対する輸入品の代替性を低く仮定しているため、関税撤廃の影響は過小評価傾向になることに留意「大筋合意」内容を暫定的に組み込んだ試算で確定値ではないことに留意。

政府は農林水産業への影響は軽微であるとし、国内対策を少し行えば、国会決議は守られたと言えると主張しているが、内閣府のモデルでも少なくとも1兆円の損失が見込まれるのを軽微とは言えない。そもそも、政府は、前回、関税撤廃された場合の生産減少額として、鶏肉990億円、鶏卵1,100億円、落花生100億円、合板・水産物で3,000億円と示し、これだけでも5000億円を超えていた。今回は、同じ品目が全面的関税撤廃という同じ条件なのに、「影響は軽微」という説明は、まったく説明がつかない。また現在の輸入先がTPP域外だから関係ないというのは間違いで、関税撤廃で有利になったTPP域内国からの輸入に置き換わる可能性(貿易転換)があることこそがFIA(自由貿易協定)なのである。
 すべては、「TPPはバラ色」との政府見解に合わせて「影響は軽微」だから、この程度の国内対策で十分に国会決議は守られた」というための無理やりの説明である。コメについては備蓄での調整のみ(しかも5→3年と短縮)、牛豚肉の差額補填の法制化と豚肉の政府拠出の牛肉並みへの増加、生クリームを補給金対象にする、などの対策は、牛豚肉の赤字の8割補填から9割に引き上げる点を除いて、TPP大筋合意のはるか半年以上前に決まっていた。TPPの農産物の日米合意と「再生産可能」と言い張るための国内対策はとっくの昔に準備されていて、あとは「猿芝居」だったのである。

「踏みとどまった感」を演出した「演技」

 牛肉関税の9%に象徴されるように、今回の主な合意内容は、すでに、昨年4月のオバマ大統領の訪日時に、一部メディアが「秘密合意」として報道し、一度は合意されたとみられる内容と、ほぼ同じだ。つまり、安倍総理とオバマ大統領は、昨年4月に、実は、寿司屋で「にぎっていた」のである。
 そのわずか2週間前に日豪の合意で、冷凍牛肉関税を38.5%→19.5%と下げて、国会決議違反との批判に対して、19.5%をTPPの日米交渉のレッドラインとして踏ん張るからと国民に言い訳しておきながら、舌の根も乾かぬうちに9%にしてしまっていたのであるから、恐れ入る。
 その後は、双方が熾烈な交渉を展開し、必死に頑張っている演技をして、いよいよ出すべきタイミングを計っていただけの「猿芝居」だったのだ。フロマンさんと甘利さんの徹夜でフラフラになった演技はすごい。「これだけ厳しい交渉を続けて、ここで踏みとどまったのだから許してくれ」と言い訳するための「猿芝居」を知らずに将来不安で悩み、廃業も増えた現場の農家の苦しみは、彼らにとってはどうでもいいこと。いかに米国や官邸の指令に従って、国民を騙し、事を成し遂げることで自身の地位を守るのがすべてなのである。
そもそも、3.11の大震災の2週間後に「これでTPPが水面下で進められる」と喜び、「原発の責任回避に「TPP」と言い、「TPPと似ている韓米FTAを国民に知らせるな」と箝口令をしいた人達の責任は重大だ、このような背信行為に良心の呵責を感じるどころか、首尾よく国民を欺いて事を成し得た達成感に浸っている。すべてがウソとゴマカシで塗り固められている。

「TPPがビジネス・チャンス」のウソ

 日本が、ここまでして合意を装いたかったのはなぜか。アベノミクスの成果が各地の一般国民の生活には実感されないのを覆い隠すため、TPP合意発表で明るい未来があるかのように見せかけようとした側面もある。しかし、ビジネス拡大のバラ色の世界が広がるかのように喧伝されているが、TPPがチャンスだというのはグローバル企業の経営陣にとっての話で、TPPで国民の仕事を増やし賃金を引き上げることは困難である。冷静に考えれば、ベトナムの賃金が日本の1/36という下での投資や人の移動の自由化は、日本人の雇用を減らし、賃金を引き下げる。端的に言うと、グローバル企業の利益拡大にはプラスで、中小企業、人々の雇用、健康、環境にはマイナスなのがTPPだ。

「健康と環境は訴えられない」のウソ

 特許の保護期間の長期化を米国製薬会社が執拗に求めて難航したことに、「人の命よりも巨大企業の経営陣の利益を増やすためのルールを押し付ける」TPPの本質が露呈している。グローバル企業による健康・環境被害を規制しようとしても損害賠償させられるというISDS条項で「濫訴防止」が担保されたというのも疑問だ。タバコ規制は対象外に(カーブアウト)できるが、その他は異議申し立てしても、国際法廷が棄却すればそれまでである。健康や環境よりも企業利益が優先されるのがTPPだ。

「消費者は利益」のウソ

 消費者の価格低下のメリットが強調されているが、輸入価格低下の多くが流通部門で吸収されて小売価格はあまり下がらない。さらには、日本の税収40兆円のうち1割程度を占める関税収入の大半を失うことは、その分だけ消費税を上げるなどして税負担を増やす必要があることになり、相殺されてしまうのである。
 さらには、米国などの牛肉・豚肉・乳製品には、日本では認可されていない成長ホルモンなどが使用されており、それが心配だと言っても、国内で生産農家がいなくなってしまったら、選ぶことさえできなくなる。

「食の安全基準は守られる」のウソ

 食品の安全性については、国際的な安全基準(SPS)の順守を規定しているだけだから、日本の安全基準が影響を受けないという政府見解も間違いである。米国は日本が科学的根拠に基づかない国際基準以上の厳しい措置を採用しているのを国際基準に合わさせると言っている。例えば、「遺伝子組み換え(GM)でない」という表示が消費者を「誤認」させるとして、「GMが安全でない」という科学的根拠が示せないならやめろと求められ、最終的には、ISDS条項で提訴され、損害賠償で撤廃に追い込まれることも想定しなくてはならない。
 それらを隠して、「TPPはバラ色」と見せかけ、自身の政治的地位を少しでも長く維持するために、国民を犠牲にしてでも米国政府(その背後のグローバル企業)の意向に沿おうとする行為は容認できない。

米国の要求に応え続ける「底なし沼」

 農産物関税のみならず、政権公約や国会決議で、TPP交渉において守るべき国益とされた食の安全、医療、自動車などの非関税措置についても、軽自動車の税金15倍、自由診療の拡大、薬価の公定制の見直し、かんぽ生命のがん保険非参入、全国2万戸の郵便局窓口でA社の保険販売、BSE(牛海綿状脳症)、ポストハーベスト農薬(防かび剤)など食品の安全基準の緩和、ISDSへの賛成など、日本のTPP参加を認めてもらうための米国に対する「入場料」交渉や参加後の日米平行協議の場で「自主的に」対応し、米国の要求が満たされ、国民に守ると約束した国益の決議は早くから全面的に破綻していた。
 しかも、『TPPとも米国とも関係なく自主的にやったこと」とうそぶきながら、結局、TPP合意の付属文書に、例えば、「両国政府は、①日本郵政の販売網へのアクセス、②かんぽ生命に対する規制上の監督及び取扱い、③かんぽ生命の透明性等に関してとる措置等につき認識の一致をみた。」などの形で前言がうそだったこと、国会決議違反を犯したことを平然と認めているのが、なんとも厚顔無恥である。国民を馬鹿にしているとしか言いようがない。
 さらには、米国投資家の追加要求に日本の規制改革会議を通じて対処することも約束されており、TPPの条文でなく、際限なく続く日米2国間協議で、日米巨大企業の経営陣の利益のために国民生活が犠牲になる「アリ地獄」にはまった。

説明責任を果たさずしての批准はあり得ない
 米国では批准が容易でない状況にある。米国議会がTPA(オバマ大統領への交渉権限付与)の承認にあたり、TPPで米国が獲得すべき条件が明記されたが、通商政策を統括する上院財政委員会のハッチ委員長(共和党)がTPP合意は「残念ながら嘆かわしいほど不十分だ」と表明し、このままでは議会承認が難しいことを示唆し、再交渉も匂わせている。
ハッチ氏は巨大製薬会社などから巨額の献金を受け、特に、間、ISDSからタバコ規制が除外できることなどを問題視している。次期米国大統領の最有力候補のヒラリー・クリントンさんはじめ、労働者、市民、環境を守る立場から与党民主党はそもそも反対である。「巨大企業の経営陣の利益VS市民生活」の構造だが、双方から不満が出ている。米国議会批准のために水面下で日本がさらに譲歩することが懸念される(もうしている模様)。
 農業について、政府は「規模拡大してコストダウンで輸出産業に」との空論をメディアも総動員して展開しているが、その意味は「既存の農林漁家はつぶれても、全国のごく一部の優良農地だけでいいから、大手企業が自由に参入して儲けられる農業をやればよい」ということだ。しかし、それでは、国民の食料は守れない。食料を守ることは国民一人ひとりの命と環境と国境を守る国家安全保障の要である。米国では農家の「収入―コスト」に最低限必要な水準を設定し、それを下回ったときには政府による補填が発動される。農林漁家が所得の最低限の目安が持てるような予見可能なシステムを導入し、農家の投資と増産を促し輸出を振興している。我が国も、農家保護という認識でなく、安全保障費用として国民が応分の負担をする食料戦略を確立すべきである。
 TPPに反対してきた人や組織の中にも、目先の自身の保身や組織防衛に傾き、条件闘争に陥る人もいるだろう。しかし、それでは国民は守れないし、現場で頑張っている地域の人々や農家に示しがつかない。結局、組織も見放される。現場の人々ともに、強い覚悟を持ち、食と農と暮らしの未来を切り開いていくために主張し続ける人たちが必要である。
食料のみならず、守るべき国益を規定した政権公約と国会決議と整合するとの根拠を国民に示せない限り、批准手続きを進めることは許されない。
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まるで安くしてやるかのニセ論議に気が付かなければならない

2015-12-11 | 消費増税
安保法制の時もそうであったが、自民党と公明党の与党が密室で論議を重ねて(?)いるとのことである。密室なのに、情報がリークされるがこれは意図的であることに気が付かなければならない。
来年の参議院選挙でお世話になる、公明党が執拗に掲げておろさなかった”ケイゲンゼイリツ”なるものを何とか、格好つけるだけのアリバイ工作でることにも気が付かなければならない。
生成食品の輪をもう少し広げることで、4000億円が1兆円になったとマスコミに喧伝させ、あたかも減税させてやるんだというような論調である。現在何でもかんでも、8%にした消費税を10%に再々度上げる時に、僅か2%を据え置く者の範囲を、決めるための与党の密室協議であることに気が付かなければならない。
仮にリークされる話を信じるならば、食料品一般を対象にしてみたところで、1兆円が減税されるわけではないことに、気が付かなければならない。
軽減税率は国民が生活する時に一様にかかるものには、課税をしないか税負担を感じない程度にしておくことである。そもそも、一律に8%まで増税しておきながら、今さら軽減税率の論議などないのである。
消費増税は、社会保障と財政再建のために民主自民公明でお決めになった、幻影である。社会保障は自然増を下回る金額を増やしたに過ぎず、財政の悪化は1000兆円という天文学的な数字に慣れっこになってしまったが、極めて深刻な状況であるこちに気が付かなければならない。
アベノミクスの第二の矢で、日本中で公共投資が土木事業として行われている。国土強靭化されるかどうかわからないが、土建屋は強靱になった。公共投資が産業の活性を促し、税収が増えると言った安倍晋三の言葉が虚言であったことに気が付かなければならない。
その一方で、防衛予算は初めて3兆円の枠を超えることになりそうである。金に目印はないのであるが、端的な表現をすれば、消費増税された税金は軍事費に回されていると言ってよい。消費増税のこうした現実に気が付かなければならない。与党の密室協議は陳腐な、党利党略でしかないことに気が付かなければならない。
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非正規雇用の削減こそ社会を安定させる

2015-12-10 | 労働者派遣法
小泉政権下で、自らの新自由主義を良いがままに実行したのが竹中平蔵である。彼は労働者は全員非正規雇用・臨時雇いで良いのだと言ってのけた。新自由主義にとって、国民の生活や権利や文化的な生活など、全く関係ないのである。
大手家電メーカーに勤めていた友人が(もちろん正規雇用で)、札幌に転勤になって5年のお役目を終えて本社に復帰して驚いたと、かって私に語ったことがある。小泉政権のただなかで、ワンフロアー100名ほどだそうであるが、20%が派遣社員になっていたそうである。一年で全員が総変わりするがそうであるが、3年もすればほぼ半分が派遣社員となった。人件費は抑えられたかもしれないが、習熟社員がいなくなったと嘆いていた。
上のグラフは、驚くなかれ派遣社員の会社の数である。人口が日本の三倍少々のアメリカでさえ、日本の四分の一以下である。しかも抱える派遣社員は、医師や弁護士がほとんどであって日本のそれとは異質なものである。
この派遣社員を抱える会社は、少し前のこの国の裏社会の姿そっくりである。テキヤと呼ばれて、娑婆を仕切って組のものを送り付けるあのヤクザの世界そのものである。新自由主義などというもったいぶった言い方ではなく、テキヤ社会であり傘下に派遣を大量に抱えるヤクザ組織そのものである。
非正規雇用者には定期昇給も賞与もない。労働基準法から外れて、賃金が支払われ時間外労働も強制される、極めて不安定な無法雇用形態である。
このグラフは、日本が極めて異常な裏社会によって支えられていることを物語っている。それを自民党政権が、経済成長の名目で行っているのである。
非正規雇用の削減こそが社会を安定させ、日本のGDPの60%を超える国内需要の安定的な喚起が起きるのである。マネーゲームで見せかけのインフレを演出しても、昨日述べたように雇用者・企業側が儲けた金を内部留保していくばかりである。
そもそも、インフレが社会を活性化するのは途上国の話であって、日本のように成熟してきた社会では限度のあることである。それとも経済学者たちは、資源もサイズも有限の地球上で、いつまでも成長し続けられるとでも思っているのであろうか?
労働者から権利と賃金を奪い、国はメカジメ料として、消費増税を行うのである。
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企業を儲けさせる新自由主義を掲げる安倍政権

2015-12-09 | 市場経済
企業が利潤を上げれば、そのおこぼれが労働者に降りてきて(トリクルダウンン)、賃金が上昇する。そのためには何があっても、企業を守ることが最も大切である。そのための規制緩和をどんどんやる。経済特区を作って、様々な規制からフリーにしてやれば、経済は活性して国民は豊かになる。というのが新自由主義である。
直観としてそんなことは起きてはいないというのが、庶民の感覚である。上の表は35年間の日本の企業収益と、労働者の平均賃金を重ねたものである。小泉政権になってから様々な規制緩和が行われたが、そのほぼすべてが企業が有利に活動できることである。その最もわかりやすいのが、労働者の賃金カットである。派遣労働者を大量に生みだしたころから、労働者の賃金は上昇していない。その一方で、企業は大幅な収益を上げているのである。今や労働者の40%は雇用が不安定で賃金のベースアップすらない、労働基準法から外れて雇用される、非正規雇用者なのである。安倍晋三が返り咲いた二度目の政権から、さらにこの傾向は強くなってきた。安倍政権の経済政策で、企業は390兆円もの企業内留保をしているとのことである。それと同時に、労働者間格差や企業間格差あるいは地域間格差が大きくなってきているのである。
日本のGDPの60%は国内需要である。労働者の賃金を安定的にするのが政治の仕事である。現政権はその全く逆のことをやっている。企業には減税をする理由に、海外進出の抑制を掲げている。企業が国外に進出するのは、何よりも労賃が安いことである。そして社会的安定であろう。中国を例にお手ば、労賃は上がって社会的不安は増大している。州hsン諸国もやがてこれに近い状態になるであろう。企業の愛外進出を抑えるための減税など口実に過ぎないことははっきりしている。
その一方で、低賃金者に負担が大きくなる消費税は増税するのである。現在与党内の密室協議は、政党のメンツを立てるためのエセ軽減税率の検討をこなっている。わずか2%を上げない製品を論議することなど、国民の側に立ったものではない。税負担の軽減感覚もなければ、低賃金層に配慮するものでもない。
自民党の憲法草案にみられるように、安倍政権は国民は国家に奉仕する存在にしたいのである。奉仕するのは低所得層を中心とする一般国民であり、奉仕を受けるのは大企業であり国家なのである。
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健康被害より経済原則を心配する中国共産党

2015-12-08 | 中国
中国の首都北京では信じられない大気汚染で前が見えない。今日(8日)PM2.5濃度が日本の環境基準の8倍になっていると、突如として最悪の赤レベルの宣言をした。急に大気汚染など起きるはずがない。いきなり最高レベルの宣言することになるのは、共産党支配下の官僚体制のなせるものである。
異なる世界的環境監視団体が大気汚染による死者の数を、ほぼ同数の年間160万人という数字を出している。当然のことながら大気汚染は北京だけではない。公表しなければならくなるのが、北京だけということである。地方の都市、しかも盆地状になっているところは相当の実害が出ているはずである。
報道規制は共産党政権の批判を許さない。規制効果は強権国家では機能的に働く。今日から車の末尾制限などを行っているが、根本的な解決にはならない。車と工場の排煙が原因の全てならある程度の効果は期待できるであろうが、最も大きな原因は石炭暖房の個人住宅と言われている。
それにしても北京の空気は相当ひどく、小学校の休校など一般社会生活にもかなりの影響を与えている。年間160万もの人が死亡するのであれば、国家としてあるいは人民のための国家であると言い続けるならば責任は感じなければならない。事実を隠ぺいするだけでは問題の先送りにしかならない。
健康被害より経済的影響を優先するのであれば、習近平政権は行き場を失くすであろう。
おりしもCOP21で、世界第二のCO2排出国の中国は初めて排出規制を打ち出した。その内容が、経済成長に比例した削減というトリックを持った内容であっても、先ずは踏み出した感はある。自国の深刻な大気汚染を、自国民のために対策を練る政権に変貌する日が来るのか注目したいところである。
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胡散臭いことやるから、腐ったような議員と土建屋が金目当てで癒着する

2015-12-05 | 辺野古
左は東京新聞の記事である。クリックして大きくしてみてください。辺野古基地建設の金を、自民党議員ひいては地元業者に還元していたというのである。
昨年暮れの衆議院選挙で、
当選した沖縄選出の6議員に、普天間移転関連受注の建設業が計320万円を寄付していたことが分かった。別の地元三社から計785万円寄付の寄付を受けていた自民党沖縄県連分を含めると、地元の受注業者からの2014年の寄付は1500万円にのぼる。辺野古の新基地建設は法廷闘争に発展したが、国の移設関連費の一部が、寄付の形で国会議員らに流れていたのである。
6議員は国場幸之助、宮崎政久、比嘉奈津美、西銘恒三郎の自民党議員、下地幹郎(おおさか維新の会)、玉城デニー(生活の党)である。玉城以外の5議員は、比例の復活当選である。
受注時期と寄付を受けて時の検証作業が必要となるが、国と契約した業者の国政選挙に関する寄付を禁止する公職選挙法に抵触する。
辺野古基地建設については、アメリカの本音はそれほどまでして建設する意味を持たないと引いているが、安倍政権になって積極的に建設へと動き出したのである。建設は6000億円とも言われる金額を税金から引き出し日本が行うのであるが、何が何でも建設へと突っ走る姿勢は極めて危険で、多くの問題を踏み潰すように進行している。サンゴ礁の破壊やジュゴンの棲息問題や、無数の生物の破壊や生態系への配慮を欠くのも、こうした背景に起因する。
建設反対の人々に対する暴力的な対応も同じである。
胡散臭い事業には胡散臭い現実が生じる。基地建設については、バカの一つ覚えのように普天間移転しか言えない安倍政権は、何とか金をばら撒くしかないのである。
そもそも、憲法違反を平気でやるような胡散臭い安倍政権が、腐敗臭を放つようになるのは当たり前のことである。
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ピケティが「われわれ西洋諸国がテロを生んでいる」と発言。ごもっともです。

2015-12-04 | 格差社会
ベストセラー「21世紀の資本」の著者トマ・ピケティ氏は自著で、最近の数十年で世界の経済格差が一層深刻化していることを主張した。彼は11月にフランスのル・モンド紙で「テロリズムが、中東の経済的不平等によって増幅されているのは明らかだ。私たち西洋諸国がテロの発生に深く関わっている」と述べた。(THE HUFFINGTON POST
ピケティ氏は湾岸戦争とイラク戦争を例に出し、どちらも西洋諸国の石油の利権のために起こった戦争で、中東の方が西洋諸国よりも犠牲者が多くなった「不均衡な戦争」だったと述べている。ピケティ氏が指摘しているのは西洋だけではない。彼は、中東の人口の10%に満たないが、地域のGDPの60%から70%に貢献する「石油王」の存在についても指摘している。地域開発のために使われる資金はほとんど無く、女性や移民労働者を含む人口の大部分は「半奴隷状態」にあるという。
中東の18~24歳の若者の25%が失業しているとのことである。この世代の高学歴層が、ISIS(イスラム国)へ流れるのではないか。彼らの不満は国境をネットを通じてたやすく超えるのである。
私たちはある社会学者の講演をしていただいたことがある。日本国憲法は、9条ばかりが高く取り上げられるが、憲法の本質は10条から40条までの第三章の人権条項にあると教えられた。
法の下の平等や結社や思想信条の自由や財産権や最低限の文化的生活などが保障されれば、9条などなくても良いというのである。現実には憲法の保障とは裏腹に、格差が進行し自由や平等や思想信条の保証は危ういものとなっている。
ピケティの指摘は、その社会学者の指摘と重なる。安倍晋三のような裕福な環境で育った権力者には、遠回りに見える人と社会の本質的な対応を理解する視点がない。国家の力関係が戦争や紛争を起こすとしか考えていないからである。
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実体として安保関連法(戦争法)より危険がいっぱいの防衛装備庁の暗躍

2015-12-03 | 平和憲法
安倍政権は虚偽の不安を演出することで危機感を煽り、憲法に抵触する安保関連法(戦争法)を強引に可決してしまった。立憲国家であることも法治国家のルールさえ踏みにじる暴挙である。安保関連法案が国会に提出される半年も前にアメリカで防衛省幹部が宣言したと通りに、早速自衛隊がアメリカ軍との共同訓練をするようであるが、すぐに戦闘行為をするわけではない。
かなり無法な行為を重ねた強引な法案決議に、安倍晋三は物忘れが早い日本人の特性が顕われて、ほとぼりがさめるのを待っていることであろう。だから当分は、戦場に赴くのも戦闘行為をすることも少し先になるだろう。
ところが、本ブログで防衛装備庁の発足と紹介したが、武器輸出は動き出しているのである。これまで平和国家日本のブランドを支えていた、実質武器(兵器)輸出を禁じた『武器輸出三原則』は海外で活躍するの邦人の安全を影に日向に支えていた。安倍晋三は殺人”武器”を”防衛装備品”と言い換え、”輸出”を”移転”と誤魔化して、『防衛装備品移転三原則』なるものをでっち上げた。実質武器輸出を解禁した。その窓口をして、「防衛装備庁」を発足させた。研究開発までやるのである。お金儲けである。財界は大喜びである。
オーストラリアが潜水艦を開発することになり、武器輸出の解禁で日本の三菱重工と川崎重工も参加することが決まった。500億豪ドル(約4兆2千億円)の巨大プロジェクトである。
もうすでに、安倍軍事政権は動きだしている。日本で作られた兵器が、世界のどこかで人を殺すことになるのが現実的になってきた。戦後平和憲法のもとで、他国の人を一人も殺害してこなかった日本が、安倍政権のもとで武器製造業者・死の商人を抱え奨励、援助する国家に変貌したのである。
冒頭の自賛する防衛整備庁のロゴマークは、世界中に航空機も戦車も艦船も輸出するぞとの、意気込みが見られるものである。安保法案より、武器輸出がすでに動き始めているのである。これこそが、安倍晋三の積極的平和主義という名の、軍国主義なのである。
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似て非なる「軽減税率」という名の”たった2%を据え置く”論議

2015-12-02 | 消費増税
安保関連法の強引な採決で、すっかり傷ついた平和の党の公明党が、バカの一つ覚えのように言い続けてきたのが「軽減税率」である。自民党もここは言うことを聞かなければならないと聞く耳を傾けているが、一律10%にした場合との差額の上限を、4000億円と決めてしまった。生鮮食料に限られることになる金額であるが、この検討は軽減税率でもなければ、低所得者への配慮でもなんでもない。只の公明党がうるさく言うから、検討しているフリをしているにすぎない。自民党の政治的、党利的動きでしかない。
麻生太郎が「軽減税率の導入、誰もが嫌がってるよ」と口をへの字にしてだみ声でいうのは、自民党と官僚の本音である。
そもそも、「軽減」とはおこがましい。すでに何もかも、8%にしておきながら今度上げる差額の”たった2%を据え置く”品目を検討しているだけであるヨーロッパ各国では、消費税(付加価値税)は20%前後であると、日本の消費税が低いことを官僚はアピールするが、食料や医療や教育関係については、0かせいぜい5%程度である。国家財源に占める割合は、30%程度であるがこれは今の日本と変わりない。消費税から得られる財源はすでに上限に達していると言える。
日本の消費税は、あらゆるものに均等に課税している。消費税の逆進性はそのままで、格差社会の拡大につながっているのである。軽減税率はこうしたことを補うためのものである。たった2%上げずにとどめ置く処置を、しかも上限を4000億円に決めての、エセ「軽減税率」論議に騙されてはならない。
辺野古新基地の増設は6000億円である。防衛予算は初めて3兆円を超える。消費増税は、財政再建と社会保障費の確保ではなかったか。アベノミクスとやらで、土木事業のばらまきは目に余る。財政再建は何処に行った。
社会保障費は自然増を下回る増額しかやっていない。これでは、増税した税金は財政再建はおろか、社会保障費にも回っていない。増税した税金は軍事費に回していると言っていいだろう。
安倍晋三は、国民の生活や1千兆円を超える財政赤字のことなど全く考えていない。身を削って国家に奉仕する国民を望む、自民党の憲法草案そのものと言える。こんな現状で消費税を10%に上げることそのものが問われなければならないのである。
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どうやらプーチンの主張に利があるよう

2015-12-01 | テロ
トルコ軍がロシアの戦闘機を撃墜した、トルコの言い分には不合理なことが多い。トルコ国境を僅か17秒侵犯したとのことであるが、この間に10回以上の警告をしたのである。信号ではなく言語の警告であるが、そんなことは不可能である。侵犯直前も含めても相当無理がある。そもそも、僅か17秒の侵犯で撃ち落とさなければならない、合理的理由は何なのか全く説明がない。
トルコにしてみれのばこの辺りは自らが支援する、反アサド勢力圏であって何があっても守りたい勢力であり地域でもある。ロシアはアサド支持のために、空爆をIS攻撃するふりして空爆を行っているところでもある。ロシアのシリア空爆は毎日500回程度であるのに対して、UEとアメリカはせいぜい10回程度である。ロシア空爆が、反アサド勢力を攻撃することもあっても不自然ではない。
シリア国内は、お金のある人たち40万人がこぞってヨーロッパ難民になり、多少の金のある150万人の人はトルコやイラクやレバノンの近隣国の難民になっている。もっともお金のない1200万の国民は国内難民になっている。そしてお金のあるアサド支持派は国内にとどまっている。
地理的にロシア難民は生じない。アサド政権が崩壊した時に要人が逃げ込む可能性はあっても、最も厄介な問題からロシアは距離を置いているのである。
ISの最も大きな財源は原油の販売である。一部はサウジアラビアを通じて販売されているが、地理的に有利なトルコが安価に地下組織にたたかれ販売しているとは、ずっと言われてきたところである。1地年程前に、100台ものランドクルーザーが隊列をなして、ISに入ってくる映像が公開されたことがある。ランクルではなくサーフであったが、これほどの車を陸揚げできる港は、サウジにしかない。あるいはトルコということである。IS包囲網を世界各国が一斉に声あげるが、裏で世界各国はないをやっているかわからない。多分利害関係がほとんどないのがロシアである。彼らがアサドを支援するのには、アラブの拠点が欲しいからである。そうした意味でも、ロシアの立ち位置はある意味唯一明快と言える。
トルコにはオスマン帝国時代の支配していた暗い歴史があり、ヨーロッパ各国には第一次世界停戦で相当おかしくした不条理な歴史があり、アメリカには第一世界大戦後の支配とイスラエル建国による敵国化政策と思える歴史を抱える。
ロシア艦船が利用するラタキアは静かできれいな街で、アルファベットが発祥したまちとも言われている。ロシアがここを手放すはずがない。ほとんど唯一のアラブの拠点であるからである。
ロシアの思惑が明確であるのに対して、欧米諸国は同床異夢の結束でシリア攻撃を行っている。仮に何らかの形で終戦を迎えても、その後の混乱は目に見えている。
今回の戦闘機爆撃は、おそらく現場の反ロシア感情が起こした不測の事態であろう。それを裏付ける多くの事実がある。エルドアンは無条件に謝罪するべきであったが、居直ってしまった。
こうした紛争は、ISを喜ばすだけである。本来であれば国連が主導しなければならないところであるが、複雑に交差する国家間の利害関係がこれを阻んでいる。トルコの居直りが象徴的である。プーチンが存在感を増すばかりである。
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羅臼港

春誓い羅臼港