そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

釧路湿原が保護される理由(わけ)

2013-06-10 | 政治と金

昨日(6月9日)は、釧路でラムサール条約第5回締約国会議が開催されて、早いもので20年になる日であった。初めての国際会議に緊張しながらも、釧路湿原を改めて見直した会議でもあった。

ラムサール条約とは、国境とは無関係に渡りをやる水鳥たちが休息できる湖沼や湿原を、世界各国で保護するのが目的の条約である。日本最初の指定地の釧路でやる意義は大きかった。当初、各自治体や関係団体は、環境保護そのものに目くじらを立てていた時代である。現在は46もの指定地がある。

今では、観光資源としての機能する釧路湿原であるが、かつては不毛の地と言われたいた。内容はともかくとして、観光客が感動するのは悪くはない。

しかし、釧路湿原が残されたのは、冷涼な地であるからなのである。日本中にこの程度の湿原は無数にあった。それらの湿原は、ほとんどすべてが例外なく、水田になりお米を作ってきた、日本の歴史なのである。

山岳列島の日本の平坦な所は、海に近く河川が落差をなくし地下水位の高いところでああった。人々は山にへばりつくようにして住み、平坦地の湿原を水田に代えてきたのである。水が豊富で、葦などはお米と同じ、禾(か)本科(イネ科)の仲間である。

多分80年ほど前までは、こうした水田にはかつて湿原だった時代の小動物や、小鳥たちが追われることなく住んでいたのである。開発されても湿原の生態系は、多少のダメージはあったであろうが、多くは水田が受け入れていた。

今でこそ北海道の暖かいところでは、品種改良などによって米を作れるようになった。釧路地方ではそれもかなわず取り残されていただけである。

本州以南ではこうした湿原を改良した水田が、人々の胃腑を満たし命を支えてきた。権力者の象徴として、石高は用いられてきた。その一方で、水の保全に限ることなく、環境保全にも役立ってきたのである。

お米は、田にあるときには”稲”、収穫すると”米”、食べる時には敬称を付けて”ご飯”、と呼ばれてきた。神社にはしめ縄が奉納され、水管理は村の共同体の結束を高め、人々には勤勉である民族としての誇りを育んできたのである。

釧路湿原とほぼ同じ光景を府県の田で想起するには、とても難しい大型機化によって開発された現在の水田である。その風景も、環境もTPPで破壊されるかと思うと、この国はどこに向かっているのかと、不安で仕方ない。

左にフォトアルバム<武佐岳から>をアップしました。

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「日本食」輸出は農業の6次化とは無縁の虚論である

2013-06-08 | 政治と金

農水省が、農業の6次化の奨励として、攻めの農業であり輸出産業としての象徴として、何を血迷ったか「日本食」の輸出を言い出したのである。2012年度は、輸出農業は4500億円であるがこれを、2020年には1兆円にするというのである。「日本食」を攻めの農業、輸出農業の象徴にというのである。アベノミックスの、第3の矢の成長戦略になるというのである。

確かに日本食は、健康的でヘルシーであり美味しく安全性も高く評判は。どの国でも低くはない。何も知らない方々は、まことにけこうなことと何気なく思うことであろう。

ところが、農水省が掲げた日本食は、味噌、醤油、豆腐や納豆それにうどんやラーメンである。この原料になっている、大豆も小麦も自給率は低く、国内の生産量は5~10%である。

これらの加工品を輸出することは、日本農業とは何の関係もない。通産省が出すなら加工産業としての奨励にはなるだろうが、農水省が農業の6次化の一つとして打ち出したから、お笑いである。食文化の輸出なら、文科省が担うべきである。

日本食を海外の売り込むことよって、地方の活性になり、農産物を、作って(1次)加工して(2次)売る(3次)ことで、6次産業の象徴的産業に育て上げると、農水は謳っている。この産業振興は、原料の農産物をほぼすべてを輸入に頼っているため、輸入産業の奨励の他ならない。農業とは無縁奨励策である。

とてもお勉強ができ、難関を突破して有名国立大学を出て、国家公務員の難関にも耐えたのであろう、官僚の机上論でしかない。田舎にいるとあまりにもこうして現実を知らない、官僚の作文に出くわすことが多すぎる。アベノミックスは机上論の虚飾に彩られた、マネーゲームで終わるだろう。

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アベノミックスこの強行のシナリオ

2013-06-06 | 政治と金

林芳正農相は5月29日の衆院農林水産委員会で、政府が掲げる農業・農村の所得を10年間で倍増させるとの目標について「農家個人ではない」と回答した。元々新自由主義者でTPP参入に積極的だった林を、農水大臣に据えたのは安倍の思いがある。

更に、林大臣は「農業・農村全体の所得を増大させる観点で多様な地域の状況を踏まえながら検討を行っていく」と述べた。言葉尻ではなく正確に読み解くとこれ
は、農家の収入を上げるとも言っていないのである。農村に何らかの、例えばバラマキ公共事業である、国土強靭化事業をするともいえるものでもやるのでしょうか。

新たな自民党の農業周辺産業の奨励事業がすでに始まっている。私の診療している酪農家のことである。自分の出来る範囲で、あまり大きくないボロの牛舎で乳を搾っている。

そこの息子さんがトラクターを買いたいと、農協に相談した。現在70馬力ほどのトラクターである。大きくすれば国の補助があって半額で済むというのである。自民党の農政は、意欲ある農家とは大きくすることと決めつけているため、大きくすれば補助の対象になるというのである。100馬力以上のトラクターを買えというのである。

100馬力もいらない、第一そんな大きなトラクターは牛舎に入れない。ということで補助の対象にならず諦めた。関係者でない方は、それは可哀想だと思われるでしょう。確かにそうした側面はあります。しかし、実際の金の話になるとそれほど、可哀想でもないのです。

補助には定価が対象になります。この場合多分、1000万円ほどになると思います。農家負担は、500万円ほどになります。ところがこれを補助なし農機具屋と交渉すると、700万円ほどまで下がります。現金で払うとなれば、600万円ほどにもなるでしょうか。

実力のある農家は現金払いあるいは即決払いをするために、融通の利かない補助など使わないのです。もっと我慢強い農家は、中古品を自分で探します。たぶん400万円ほどで手に入ります。何しろ最近離農者が多いので、あるいは補助金で買った農家が手放すために、まだまだ使える中古品が手に入ります。

この農家の場合には、同レベルの70馬力ほどの中古のトラクターを買うことになるでしょう。たぶん200万円程度でないでしょうか。(数字は推測ですが、大きく外れてはいません)

ここまでくればお分かりと思いますが、農家の補助のように見える政策は、農機具会社の補助に他ならないのです。補助金は農協を経由するために、農協もご推奨になります。

農機具会社の政治献金のレベルは把握していませんし、農協の政治圧力もかなりPhotoあるとおもいます。農業政策は農家に対してより、周辺産業に意味があることの方が圧倒的に多いのです。

然しTPPに参入すれば、これらのことも吹っ飛んでしまうでしょう。昨日又々安倍首相は、10年で所得を150万円増やすと言い放った。根拠があるわけではない。

アベノミックスは虚構のシナリオのほころびが、次々と露わになってきている。虚構は、手を変え品を変えて崩壊するまで、言い続けなければならない。

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天安門事件24年経っても

2013-06-04 | 中国

早いもので天安門事件から、今日で24年になる。今日に中国の方針を決定づけた事件である。民主化運動としての側面より、24年経って俯瞰してみるとこれが、中国02が経済大国へと進む大きな転機になっていることが判る。

ヨーロッパでは、次々と社会主義国体制が崩壊していた時である。中国にも大きな火の手が上がった。中国はこの事件を、一旦は理解あるような態度の収集を図ったかに見えたが、圧倒的な武力で制圧した。

その後の中国は、体制保持のためならあらゆる暴力的手段と、報道規制で圧倒してきた。事実を隠ぺいし、人権擁護や民族運動の制圧をやってのけた。その原点になった天安門事件を、学生の暴力暴動として評価するに留めている。それ以上の評価がなく、あらゆる報道規制を行っている。ネット検索も出来なければ、教育の場でも封印したままである。

この4年後、鄧小平の「南巡講和」に豊かなものから豊かになるとする”先富論”Photoによって、一気に経済最優先政策へと加速するのである。社会主義体制と自称しながら、未熟な資本主義体制を民主化を抑え込むことで、経済発展を成し遂げてきた。ここにきて、格差や環境悪化や共産党内部の腐敗などの矛盾が目立ってきている。

天安門事件関係者やその遺族たちは、事件の真相解明と謝罪と補償を要求しているが、政府は抑え込むこと以外の動きは見られない。河北省で事件関係者を悼む追悼行事があったようであるが、即座に撤収させている。学生の暴動と公式の見解を譲らないが、政府・共産党の対応はよほど神経質であると言える。それほど、現体制にとって、天安門事件は大きな意味を持っていることなのである。

今でも事件関係者には、常時監視体制を組んでいて、相互の連絡や情報の交換も活動もできない状況である。中国の民主化は、天安門事件の真相究明をしなければ成し遂げられないことである。

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遺伝子組み替え作物まみれのアメリカ

2013-06-03 | 政治と金

竜巻で大事故が起きているアメリカのオレゴン州で、アメリカ政府でさえ認可していない、遺伝子組み替え(GM)の小麦が発芽していることが確認された。小麦の遺伝子組み替え作物は、モンサントが1989年から2005年までオレゴンで試験的に栽培していPhotoた。

現在世界のどの国も、小麦の遺伝子組み換え作物を認可していない。モンサントが、小麦の遺伝子組み替え作物を市場に出さなかったのは、儲からないと見たからである。

モンサントの遺伝子組み替え作物の目的ははっきりしている。このブログで何度も書いてきたことであるが、自社の除草材であるラウンドアップを使っても、影響を受けない作物を作るためである。ラウンドアップに用意があるという意味で、「ラウンドアップレディ」と呼ばれている。今回も、除草後の圃場で農家が不審に思って、検査を依頼したものである。

ラウンドアップレディは、除草剤の販売で一儲けして、GM作物は一度作付すると継Photo_3続的に購入しなければならないため、種子でまた設けるという二段構えの商売である。種子を継続して購入しなければならないのは、特許を取得しているからである。

モンサントは、パパブッシュの時代にロビー活動を積極的に行い、自社に有利な法律や制度を政府に作らせている。GM作物は、品種改良と同じとパパブッシュを取り込んで、商品の記載も必要ないとしているのである。アメリカではである。

日本はもちろんのこと、EU諸国は全くこれを認めていない。世界のGM作物の90%は、モンサント社製である。アメリカの大豆の93%、トウモロコシの88%はGPhoto_2
M作物である。

5月25日に世界中で、反モンサントデモが行われた。200万人が参加したと言われている。モンサント社の利潤追求のためなら何でもやる阿漕(アコギ)な商法は、今に始まったことではない。

ダイオキシン枯葉剤で大儲けして、PCBで環境を汚染しながら次世代まで延々と引き継がれる傷跡も、すべてモンサント社製である。

枯葉作戦の次世代への後遺症も、劣化ウラン弾の被爆もアメリカは認めていない。今回作付中止から、3年経過して発見されても、GM作物が無害と言い放ったところで、根拠もなく何の説得力もない。TPPではこうして、アメリカは経済力で封じ込めるのである。

フォトアルバム<奥行臼やっと桜咲く>アップしました。

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アベノミックスのためなら原発だって

2013-06-01 | 政治と金

安倍首相は来日中のインドのシン首相と原子力協定をめぐり交渉の再開で合意した。原発技術の輸出は福島第一原発事故の教訓より経済を優先している。しかも核不拡散の原則に反している。

インドは核保有国であるが、核拡散防止条約(NPT)に加盟していない。包括的核Photo
実験禁止条約(CTBT)にも署名していない。国際社会の監視が届きにくい。早い話が、核に関する限る北朝鮮と同じレベルにあると言える。

インドには現在、20基の原発がある。恒常的な停電など、電力不足に悩んでいる。2030年までに原発を40基にする計画であるらしい。インドは日本の原発事故に同情的で、津波によるものであって原発技術が起こしたものではないというのである。

安倍首相は「事故の経験と教訓を世界と共有することによって、世界の原子力安全の向上に貢献していく」と言う。野田は一方的に、原発事故の終息を宣言したが、これに輪を掛けて安倍は原発認識が甘い。

成長戦略のためなら何でもやるというのが、経済優先政策アベノミックスの言い分であろう。国内では新増設に慎重であり、ほとんどが稼働していない現状である。事故に関わる処理も全く進んでいない。なのに海外へは積極的に輸出するのでは、国際社会ルールの反する行為と言える。

原発建設は一基5000億円にもなる、大事業である。インド各地では、福島原発事故を受けて不安が広がっている。現地では反対も根強く各地で行われている。

日本は今月、トルコそしてUAE・アラブ首長国連邦と相次いで原子力協定を結び、またインドとも結んだ。アベノミックスのためなら何でもやる、なんとも節操のない話である。

被爆国日本、原発事故を経験している日本は、インドに対してNPT加盟を促して、核兵器の削減や実験の中断を申し入れるべき立場にあるのではないか。原発の輸出は、金のためなら何でもやるという、アベノミックスの象徴的矛盾である。

フォトアルバム<奥行臼やっと桜咲く>アップしました。

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羅臼港

春誓い羅臼港