そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

ドゥテルテ大統領の巧妙な手口に中国包囲網ができない安倍外交

2016-10-25 | 安倍晋三
フィリピンのドゥテルテ大統領は10月20日、北京市で開かれたビジネスフォーラムで演説し「軍事的にも経済的にもアメリカと決別する」と驚きの発言をした。「今後長い間、中国が頼りだ。中国にとってももちろん利益があるだろう」と続け、今後は中国重視の姿勢を明確に打ち出した。ドゥテルテはその日のうちに習近平国家主席と会談したが、南シナ海の領有権問題については議論はなかった。
中国は、ドゥテルテ大統領が暴力的に展開している麻薬撲滅を評価し、薬物中毒者の更生施設について、90億ドル(約9330億円)の融資を約束した。さらに鉄道や道路、港湾建設などインフラ整備への積極的な参加を表明し、覚書を交わした。同行した民間の投資も含めると、経済支援の規模は総額135億ドル(約1兆4千億円)に上る。
ドゥテルテは領土問題は棚上げし、中国からの経済支援や関係改善を優先させた。習近平は、国際仲裁裁判所が今年7月に出した、南シナ海のほぼ全域の領有権を主張する中国の立場を認めない判決で、国際的に苦境に立たされている。その中国・習近平に、ドゥテルテは救いの手を貸した形になった。
アメリカはドゥテルテ大統領の発言について「アメリカとフィリピンの70年間の同盟関係に合致せず困惑している。真意についての説明を求める」と述べている。

そのドゥテルテは日本に昨日(25日)来た。巡視船という実質戦艦を贈ったり経済協力を申し出たり、何よりも南シナ海の領有権については協力に支援していた安倍晋三である。ベトナムを支援し中国に国際法を順守せよと言い続け、アキノ大統領時代から日比軍事協力をし、新造の巡視船10隻の供与を決めていたが、その意味がなくなった。安倍外交の中国包囲網は破たんした。
軍事大国を目指す安倍晋三の、敵の敵に兵器を贈る安直な積極的平和主義の化けの皮が剥がれたことになる。
ドゥテルテが戦略家と見る向きもあるが、単なる二枚舌外交をやっているに過ぎない。領土問題は触れなかっただけである。発言も民間の集会である。ドゥテルはアメリカとの経済関係を見直すつもりなどさらさらなかろう。日本とも同様である。ドゥテルは南沙諸島の自国の領有権を、金づるにしたのである。日米に加えて中国からも金を引き出した。黒澤明の映画、『用心棒』ではないが、競い合うもの相互に値を吊り上げさせたのである。危険で不信用を伴う行為といえる。

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