自民党の本心は票の掘り起こしなどではなく、固い地盤の溝手票の切り崩しにあったといえる。溝手は三原市の市長から参議院議員に鞍替えしたが、此処には強固な地盤をもっている。天満祥典現三原市長は金の受け取りを当初認めなかったが、一転して記者会見をし150万円受け取った事実を明らかにして辞職を表明している。
広島県内の首長と県議会員35名以上が、河井克行・杏里夫妻からの金銭の授受を認めて、そのうち半数ほどになるかも知れないが、辞任を表明している。つまり、広島県内で河井夫妻の買収によって、幾つかの市長選長選挙と、何カ所かの県議会議員・市町村議員の補欠選挙が行われることになるという、前代未聞の珍事が起きることになる。国会議員夫妻の買収事件で、余計な費用が掛かることになる。
当初は否定していた自民党首長や各議員は切り崩された自分があからさまになることが、支持者や溝手氏に顔向けができなかったか恥じているのであろう。次々と雪崩を打ったように金銭の受領を認め始めていく。どのみち無理筋な二人擁立の結果であった。
更に、検察のリークによってさまざまなことが解ってきた。安倍晋三の地元事務所秘書が安倍総理大臣の名刺を、金を渡した首長や議員たちにその直後丁寧に回っていたのである。河井克行は妻の有り余る選挙資金を、首長や議員にばら撒いた後には、隣県の山口からベテランの安倍晋三事務所の秘書が総理の名刺を持って現れている。選挙協力に派遣された秘書は五名であったとのことである。
更に河井克行は、「全員が出て拍手で迎えるように」「明日明後日から応援に来られるのは、「安倍晋三事務所の秘書さん」ではなく、「安倍総理大臣秘書」と、表現してくださいよ」という指示まで出していた。杏里選対は安倍事務所の秘書と一緒に広島県内の企業40〜50社を名簿片手にアポなしで訪問をしていた。河井克行はこうした訪問についても、事細かく指示をしていた。
つまりこれらの買収についても、事実上安倍事務所の秘書たちも深く関与していたことにもなる。
また、自民党本部が、河井夫妻それぞれが代表を務める政党支部に選挙資金を振り込む前後に、安倍首相と河井克行容疑者が繰り返し官邸でふたりきりで面談していた事実も明らかになっている。昨年、安倍晋三と河井克行が単独で12回面会をおこなったていた。そのうち9回は河井克行が自民党総裁補佐として単独で面会をおこなっている。河井克行が安倍晋三と単独で面会するとその直後にあるいは直前に、1500万円~4500万円が数度に分けて、計1億5千万円になるまで振り込まれてるのである。
何時か安倍が言っていた貴下に冠を正しただけではないようである。今回の選挙にまつわるシナリオはすべて安倍晋三が書いたものである。自民党ヘのガサ入れ、そして総裁の責任まで追及されなければ、本件の全容が解明されたとはならない。