中国の元重慶市共産党委員会初期で、中央委員でもあった薄煕来の贈収賄事件の裁判が行われている。中国はこの裁判の法廷でのやり取りを、中国版ツイッターの「微博(ウェイボ)」でリアルタイムで伝えている。極めて異例のことである。
薄煕来は4件の起訴について、全面的に否定した。すべてでっち上げで事実無根であり、自白は強要・誘導によるものであると反論した。証言者に対しては、自らを売り込む汚い人間の姿を見たなどと、真っ向から争う姿勢を示した。
英国実業家を殺害したとされる妻の谷開来は、すでに死刑判決を受けている。彼女の証言にも精神障害を根拠に否定した。
この裁判を公開した中国の意図は、なにかと問題がある中国の裁判の透明性をアピールいい機会だと判断したのであろう。当局の思惑に反して、薄煕来が全面否定したので、少々戸惑っているようである。裏取引を匂わせる動きも見られた。
薄煕来の失脚は、胡錦濤の判断である。中国各地で毛沢東時代を彷彿させるような、革命家を歌わせ旗を振ることで人気をえていた。文革時代への逆戻りや、政情不安の元になると判断したのである。経済大国の道を歩む中国にとっては、極めて目障りだったと思われる。
裁判の公開は一応成功したものと思われる。国民が大いに注目する裁判になっている。中国が国内的に最も悩んでいる収賄や汚職や職権乱用に、大いに警告になっているだろう。
太子党の大物を追放することで地歩を固めようとする習金平の意図は、裁判を公開することで固まることにはならなかった。いずれ恩赦を与えるなどの取引が水面下で進行することになるだろう。