そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

絵に描いた餅の農業基本計画

2010-03-30 | 政治と金

「食料・農業・農村政策審議会」が、農業基本計画案を発表した。現在40%程度の食糧自給率を、20年後に50%に引き上げるとしている。戸別所得補償制度を最大限利用することらしい。然しどう見ても、農業に関係ないが知識と資料に詳しい方々による、作文のように見えてならない。

長年乳牛などの家畜に関わってきた技術者として、見逃すことができないものに"飼料用米”の評価である。現在0.9万トンを70万トンにするというのである。数字上は、かなり自給率が上がることになる。しかし、乳牛をはじめとする、穀物を多給される家畜たちは、コーン〔トウモロコシ〕の消化能力を主体に改良されてきたのである。

沢山牛乳を出すのも、沢山卵を生むのも、沢山肉を付けるのも全てがコーンを給与されることで、彼女達は能力を発揮するのである。このように改良された家畜たちに、同じ穀物だからといって、小麦や米を給与しても成果が上がらない。いくら米作りが様々な意味での苦境にたたされているからと言うような理由で、飼料にする発想はいかにも短絡である。家畜の改良から進めねばならない。

アメリカの穀物協会は、日本に向けてはまず人間が畜産物を食べるように仕組み、家畜を長い時間かけて改良した上で、自らの国の穀物であるコーンを大量に売り込んでいるのである。長期的な戦略もなく、収量が多い品種を家畜に向けるような政策のお先は知れている。

更に、小麦の生産には二毛作を前提にしている。小麦の主産地は、北海道である。北海道のような寒冷地で、二毛作などできるわけない。早速北海道農協連が噛みついていた。

戸別補償制度も、確たる軸や内容の提示も未だ不明のままである。農業学者たちも、政権交代を受けて相当戸惑ったままである。金を出せば農産物を作るだろうと言う発想は、金を出せば子をもを沢山つくるだろうとする発想と同じである。

食の体系や地方の持つ問題を丁寧の取りあげていかなければ、食糧自給率を上げる子tができない。金額自給率を併記するようでは、この審議会も大したことがない。

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