カタールのドーハで開催されているワシントン条約締約国会議で、クロマグロが絶滅種に指定さ れるようである。日本は各国に働きかけて、必死にこれをくい止めようとしている。然し情勢はかなり不利のようである。確かに、海に面していない国や、国の大小など関係なく、170カ国が同等の投票券を持っているのもおかしいことではある。
日本は食文化を守ると、赤松農水大臣は息巻いている。クロマグロは極めて高級な食材である。世界の漁獲量の80%も日本人が食っている。次ぎに高級なミナミマグロに至っては、100%日本が消費している。クロマグロに関して言うなら、僅か10年前の30倍もの量を日本人が食べている。
日本の食文化を守れと、赤松大臣は言っているが、こんなにも高級魚を食べるのが日本の食文化とはとうてい思えない。日本の食文化を守るなら真っ先に、「飽食」をなくし「食い残し」による廃棄をなくすことである。慎ましやかにも、命をいただきますと手を合わせて頂くのが、日本の食文化の基本である。マグロの中でもと特に高価なクロマグロを見直す良い機会である。
クロマグロが絶滅危惧種であるかは判然としない。現在の漁獲量や産卵量などを考 えると、絶滅危惧種などとはとうてい思えないし、多分に政治的な匂いがする。魚を全く食べない国民なども投票するのも気になるところであるが、今回はワシントン会議の決定を受け入れるべきである。程なく個体数は回復するであろう。
それにしても、農水大臣も副大臣も官僚の言いなりで、たとえこの会議で絶滅危惧種に指定されても拒否権ともいえる、不服従をするそうである。漁業関係者には困ったことかもしれないが、国際会議で借りをつくると後が厄介である。
今回のクロマグロの問題は、肉も食べない白人たちの乱獲で激減した鯨の場合とは、かなり様相が異なる。クロマグロはマグロ消費量の、僅かに10%を占める程度である。投機的要素も強く、業者が困るのが本音だろう。一定の期間を禁漁にすれば、個体数は回復するであろうし、その間を、日本の食文化を見直す良い機会とするべきである。