日本経済は、いざなみ景気を追い越した状況にあるそうである。特定の大企業が好景気 であるようだが、人件費には見返りがなく、一般庶民まで回ってきていない。
それに、地方は破綻する自治体がでるほどの状況になっている。地方の経済を主に支える一次産業の林業、漁業、農業が疲弊している。景気がいいのは特定の地域でしかない。
ところで、日本の畜産は今後かなり厳しい局面が予測される。最大の問題は、畜産の大型化を支えてきた、安価な穀物(主にトウモロコシ)の価格が上昇することである。長期的には、人口増加と食糧問題であるが、短期的には農地の減少とエタノール生産による、畜産部門への圧迫がある。
大型化した畜産の環境問題が深刻化することと、大型化による家畜への動物としての扱いが問われることになるだろう(家畜福祉)。この双方を克服するためるには、大型化を見直すしかない。人間が目の行き届く範囲で、家畜を飼養するべきであり、糞尿を農地に還元できる範囲の頭数に制限するべきであろう。
こうした飼養形態は市場経済に馴染まないが、本来の畜産のあり方に戻るともいえるのである。生産効率のみの追求は、畜産価格を抑えて消費者に貢献していると、実情を知らない経済学者は胸を張るが、価格だけが経済なら経済学は無用のものである。
消費者は、価格を機軸に商品を選択するが、食料に限ってはそのようなことがってはならない。家畜の健康、飼料生産の環境問題、畜舎環境周辺の環境汚染などを考慮してこそ、真の畜産製品を生産するといえるのでないか。
昨年度、北海道の酪農家の収支はここ数年になく悪化の状況にある。