10月16日は「世界食料デー」である。FAOの発表によると、昨年より1億人増えて、世界の飢餓人口が10億人を超えたそうである。その一方で食料、とりわけ穀物の生産は活発である。世界の穀物生産は、22億トンにもなった。経済危機が1年前に穀物価格を倍以上に高騰させた。景気は後退したが、穀物価格は高止まりしたままであるのが、原因であるととFAOの分析である。
穀物価格の高騰は石油などと同様に、投機の対象になったからである。石油が産業に直接かかわるために、ほとんど元に戻ったのに比べ、穀物はいまだに投機の対象である。食料が不要 になるわけではない。価格が下がったとはいえ、4年前の3割上の価格である。日本が実感しないのは、この間に円が3割も高くなったからである。
投機の対象にならなくても、穀物は先進国の畜産が買い求めるのである。飢餓人口が10億人を超える現実があっても、先進国の家畜は生産強要のために大量の穀物を与えられている。先進国の家畜は、肥満状態にあるのも現実である。
22億トンの穀物が、63億人に均等に配分されるなら年間36キロ少々になる。つまり1日100グラムの穀物が当たることになるのである。これならだれも飢餓に落ちることはない。穀物が足らないのではない。均等に配分されないだけである。
先進国に供給されている穀物を、途上国に配分することも非現実的である。恒常的に出来ることではない。一時的な補助や救援物資は、人道的であり必要なことではある。最も大切なことは途上国も、食料は自給するべきなのである。
それを拒んでいるのが貧困である。貧困の原因は、無数にあると思われるが、大きな要因は穀物に見られるように、先進国が資源や労働力を収奪することである。国際流通商品の価格を高くしてしまうのである。そしてその一方で、途上国の労働価格を抑えるのである。
今回の最もショックな、FAOの発表があった。世界で最も多い死因は「飢餓」とのことである。飢餓で、毎日2万5000人以上の人が亡くなっているとこのことである。