A&B・ストルガツキー/深見 弾訳(ハヤカワ文庫)
《あらすじ》
何が起こるか誰にも予測のできない謎の地
帯、ゾーンーーそれこそ、地球に来訪し地
球人と接触することなく去っていった異星
の超文明が残した痕跡である。ゾーンの謎
を探るべく、ただちに国際地球外文化研究
所が設立され、その管理と研究が始められ
た。だが警戒厳重なゾーンに不法侵入し、
異星文明が残していったさまざまな物品を
命がけで持ちだす者たち、ストーカーが現
われた。そのストーカーの一人、レドリッ
ク・シュハルトが案内するゾーンの実体と
は? 異星の超文明が来訪したその目的と
は? ソ連SFの巨匠が迫力ある筆致で描
くファースト・コンタクト・テーマの傑作
《この一文》
”(やりかたがきたないぞ、卑劣だ・・・おれはやつらのペテンにかかり、口がきけないままほっとかれたんだ、畜生・・・ごろつき・・・そうだ、おれはごろつきだったんだ・・・ごろつきのまんま年を取ってしまったのさ・・・そんなことがあってたまるか! おい、聞いているのか? これからは、断じてそんなことは許されんぞ! 人間は考えるために生れてくるんだ。そう、彼がそうだ、結局キリールがそうだったんだ!・・・ただし、おれは信じるもんか、そんなことを。これまでだって信じなかったし、今も信じちゃいない。人間がなんのために生れてくるのか、そんなことは知るもんか。おれを生むやつがいたから、こうして生れたんだ。人はそれぞれの才覚で暮しを立てている。おれたちがみな健康になるんであれば、それはそれでよし、やつらが全部くたばるんであれば、それはそれでいい。おれたちとはだれのことだ? やつらとはだれのことを言ってるんだ? ーーーー) ”
最後の5頁は、髪の毛が逆立っていたと思います。
レドリックを他人とは思えず、つられて絶叫しそうになりました。
苦しい。
私たちは何を望むのかーー。
私は何を望むのかーー。
そのことばを知ったなら、私もきっと叫ぶでしょう。
でも、分かりません。
内圧が高まって、涙が出てきます。
どうしようもなく苦しいです。
読むたびにいちいち苦しくなっていたら、この先まだ読むべきものが沢山ひかえているのに、一体どうしたらよいのでしょうか。
とりあえず、映画『ストーカー』のために書かれたものの採用されなかったシナリオ『願望機』を読んでみるつもりです。
映画もそのうち参考に観ることにしましょう。