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アルカジイ&ボリス・ストルガツキー 深見 弾訳(海外SFノヴェルズ 早川書房)
《あらすじ》
秘密調査員マクシム・カンメラーは、ある惑星から地球へ転属される途中で
失踪した進歩官アバルキンの捜査を命じられる。五日間のうちに極秘で任務
を遂行せねばならないが、当初は簡単と思われた捜査も、調査を進めるにつ
れ胡散臭さを増していく。マクシムはしだいに調査官としての権限を踏み越
え、やがてアバルキンの出生に関する驚くべき謎ーー地球の未来を脅かす事
実に直面することになるが・・・!?
《この一文》
” ドアのそばに
けものがいたが
鉄砲で射たれて
死んじゃった
ーー『童歌』 ”
はやく読みたい、という気持ちとは裏腹に、同じシリーズである『収容所惑星』の時に受けた衝撃の強さを思うと、なかなか手が出ませんでした。
が、勇気をふりしぼって読んでみると、読みやすい!
世界は、『収容所惑星』から25年ほど経った地球を舞台にしています。
20歳だったマクシムが45歳になり、語り手として物語を引っ張っていきます。
そして、今回はどうもミステリ調であることに、びっくり。
謎解きです、謎解き!
とは言うものの、これまでの経験からすると、最初の方の印象が最後まで続くとは限らないし・・・、と疑っていたのですが、予想外にちゃんと謎が解けていきました。
お兄さんのアルカジイ氏は、さすがに日本文学者だけあって、作品のところどころに日本に関係のあることが出てきたりして楽しいです。
芥川龍之介も出てきました。読みたくなるではないですか。
本作では『地獄から来た青年』に登場するコルネイの秘密にも触れられています。
なるほど、そういうことだったのか。
設定は『ストーカー』にも似ています。(ネタばれになりそうなのでここまでで自主規制)
本当なら読み終えて「すっきりした!」と思いたいところだったのですが、なんだかすっきりしません。
謎は解けても、何かそれだけでは済まないような気がして仕方ないのです。
とても面白かったのに、どこがどう面白かったと言うと、何と言って良いのやら・・・。
例によって分からないところが多々あります。
まずテーマがよく分からないです。
いや、分かるんですけど、あれこれと盛り沢山な感じで、他にも考えられそうです。
そして、何故あのような結末をむかえることになるのかも、全然分かりません。
でも、きっと意味があるに違いないです。
もやもやします、うお~。
テーマも結末の意味も分からずに何故面白いと言えるのか、しかし面白いのです。
これを「ストルガツキイ現象」と名付け、そのうち分析してみる事にします(と言って誤魔化す)。
どうもこの作品も1度読んだくらいでは、私の手に負える代物ではなさそうです。
とりあえず『波が風を消す』を読んだ後で、再び考え直す事にしましょう。