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もやもや日記

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『ツバメ号とアマゾン号』

2006年05月06日 | 読書日記ー英米
アーサー・ランサム作 岩田欣三/神宮輝夫訳(「アーサー・ランサム全集1」岩波書店)


《あらすじ》
夏休みにハリ・ハウ農場へやってきたウォーカー家の4人の子供たち(ジョン、スーザン、ティティ、ロジャ)は、まだ赤ちゃんで末っ子のヴィッキイとお母さんを農場へ残し、湖に浮かぶ島でキャンプをすることを許された。帆船ツバメ号に乗って自分達だけの島での生活がはじまった。


《この一文》
”今、この島では、人間のいとなむことはなにもおこなわれていない。ティティ自身がそれをしないかぎりは、いつまでもおこなわれないだろう。それは、まるでじぶんがこの世に生きているただひとりの人間のような感じだった。”


夏休みの湖でキャンプ。しかも自分で帆船を操って湖上を走り回る。それだけでも十分楽しそうですが、兄妹の冒険には、謎の海賊や屋形船の不審な男、強盗事件や夜のあらしなどなど、盛り上がる事件が次々と巻き起こるのでした。
彼等は自分達でちゃんと役を決めて、ジョンは船長、スーザンは航海士、ティティはAB船員で、ロジャはボーイとそれぞれの役割に奮闘します。本土に住む人々はたとえお母さんであっても「土人」呼ばわり(しかし、このお母さんという人も、土人役を普通に引き受けて、謎の言葉で話し出したりする愉快な人です)で、自分達の冒険に関わるようなことは注意深く話さないようにしています。兄妹はキャンプを許されましたが、そのかわり毎朝農場のおばさんのところへ牛乳をもらいに行かねばなりません。そのとき一緒にもらうお菓子が異常においしそうです。あと、湖で釣った魚を自分達でバターで焼いて食べたりするのですが、それもまた異常においしそう。読んでいると、とにかく腹が減ってきます。しかも何か自分で作ったものを食べたくなるのでした。魚、釣ってみたい。

私がウォーカー家の兄妹の中で最も好きになったのは、次女のティティ。冒険が大好きで、想像力豊か、ちょっと荒っぽくて頑固な性格も素敵です。もう彼女の一挙手一投足に夢中です。上に引用したのは、海賊(アマゾン号のナンシイ(海賊の時の名前。本名はルース。この人も相当面白い)とペギイの姉妹)との戦争のため、兄妹が二手に分かれて他の三人は船で島を離れている間、ティティがひとりで見張りと留守番をしている場面です。彼女はすっかりロビンソン・クルーソーになってます。もちろんこの後も大活躍です。可愛いなあ。

こんな子供時代を送ったら、きっと楽しいでしょうね。私はもう子供には戻れませんけれど、田舎に帰ったら甥と真剣に遊んでやりたくなりました。土人の役でもいいですよ。いや、やっぱ「フリント船長」役がいいかな。じゃなきゃ楽しくないですよ。肩にオウムは乗せられないかもしれないけど;

「ごっこ」はちょっとでも真剣にやらなかったら、全く面白味を失ってしまいますけれど、真剣にやったならばついには「ごっこ」を越えて本当の冒険になりそうではないですか。なんだか夏が楽しみになってきた気がします。

続きも読まなくては!