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もやもや日記

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『ピンポン』(全5巻)

2006年05月31日 | 読書日記ー漫画
松本大洋 (小学館)


《この一文》
”理想を掲げる事はたやすいのです。
 ただ理想の追求を許された人間は少ない。

 限りなくゼロに近いのであります。ーーー第1巻より”


言わずと知れた卓球漫画の傑作です。
何度読んでも面白い。というか、読めば読む程面白くなるような……。

主な登場人物は、片瀬高校の月本と星野、卓球部顧問の小泉先生、月本と星野が幼い頃から通う卓球教室のオババ、名門海王高校の風間(ドラゴン)、佐久間(月本と星野とは幼なじみ)、中国からやってきた孔(コン)。
独特の絵柄にスピード感のある独特の構図、キメ台詞の的確さと美しさ(というか全ての台詞に無駄がない。会話が抜群に上手い。必要最低限の文字数。それでいて、いやむしろそのために、とても印象的。「あつがなついぜ」とか)、あるいは言葉を全く用いない絵のみの場面にめった打ちにされます。私があらためて言うまでもなく、この作者は他とは隔絶した独自の世界を表すことの出来る人のようです。大体、主人公の名前からして上手い。月本と星野。うっ、泣かせます。そう言えば、この人はネーミングセンスも最高だな。笑わない月本のあだ名がスマイルとか。佐久間(アクマ)とか。ムー子とか。バタフライ・ジョーとか。やっぱ卓球だから「バタフライ」なのかしら…。

お読みになった方の多数の同意を得られると思いますが、月本が無茶苦茶かっこいい。でも見た目は地味(←重要なポイント)で眼鏡をかけているなんて、反則ですよ。もう…だめだ……。

物語は、あまりに良く出来ていて私などが説明するにはもったいないので、興味のある方は是非お読みになってくださいませ。絵にはもしかしたら好き嫌いが分かれるかもしれませんが、そんなことはさほど問題にならない、というかむしろあの絵でなければならないことが確信できるくらい絶対に面白いでしょう。