自生しているクロユリを初めてみた。予想していたより背が低いが、気高さに感激した。
南アルプスの塩見岳に行ったとき、クロユリがあるのではとひそかに期待したがダメ。
今回の千畳敷では事前にネット上で「(7月)22日に開花宣言」とあったので、写真
を撮ることを木曽駒に登ることと同じくらい重要なポイントに考えていた。
ロープウェイ千畳敷の駅を降り、早速にカールの上部を通る道で、乗越浄土を目指す。
ポスターなどで見た千畳敷と違い、花の種類が予想外に少ない。ただ、一つひとつの花が
何となく、フックラとしているような気がした。蕾状のクルマユリを見つけ「クロユリではないの?」と聞く人。「昔見たことがあるが(遠くに見える)雪渓の下の辺りだった」と山
のベテラン風の人が冷たく答える。私も、もうじっくりと写真を撮れる範囲にクロユリは
咲いていないのかもしれないと考えてしまった。山頂まで、登山道脇を探しし続けたが一
輪も見なかった。
歩くにつれ花の種類は徐々に増え、期待通りの展開となってきた。携帯が繋がる場所があり、先に千畳敷に降りていたカミさんに電話すると「クロユリがいっぱい咲いている」と興奮気味。初めて見る花、上りに撮ったのより綺麗に見える花などシャッターを押し続けながら山を降りた。
クロユリは遊歩道の直ぐ脇にも咲いていた。周囲に合わせた背丈なのだろう。背が低い。
予想していた通りの妖艶さで気品がある。ユリの仲間に憑きものの派手さが無いのが良い。
花言葉が「恋」「呪い」から「復讐」と何だか不気味。今更の話だが、アイヌの「恋の
花物語」や戦国の武将の佐々成政にまつわるクロユリの話は、呪いや復讐に繋がっている
ようだ。