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矢入れ「靭」の破片が出土

2023年07月05日 12時41分56秒 | 話題
  滋賀県彦根市の稲部遺跡で出土した繊維片が箱形の矢入れ「靭(ゆき)」の一部で、靭としては
  国内最古の古墳時代初頭(3世紀中ごろ)のものだったことが分かり、市などが28日発表した。
  靫は首長が執り行った水辺の祭祀跡とみられる溝跡から出土。 年代は靫などの放射性炭素
  年代測定や土器から240年ごろとみられ、卑弥呼(248年ごろ没)時代の祭祀の実態を知る
  手掛かりとなる。
 繊維片は、2019年9月に出土。絹糸と植物繊維の
 織物で、表面には黒漆が塗られていた。木の板、ガラ
 ス玉、モモの種などの祭祀具とともに出土。靫の出土
 地点では、溝をまたぐような建物跡も見つかっており
 覆い屋の下で祭りがおこなわれていたとみられる。

   靫の破片は大きくても20㌢弱で、黒漆が塗られていた部分が腐らず残っていたらしい。 
   弥生時代時代には見られない「あや織り」の技法で、V字型のような綾杉文が残っており、
   福井市の鼓山古墳(4世紀)で出土した靫とデザインなどが似ていた。

  靫は背負って使う武具で、25例ほどが前期古墳から副葬品として出土。 光を反射する金
   属の矢尻が見えるように上向きに納め、漆塗りの装飾も施しており、実用性は低いという。
  邪馬台国の最有力候補地・纏向遺跡でも1970年代の調査で、今回と同時期のあや織りの
   繊維が見つかっており、靫だった可能性がある。
 
  彦根市文化財課の担当者は「靫は織り方などで2世紀にはない技術で作られている。 ただ
   大陸から工人が渡ってきて作ったのか、輸入品なのかなど今後の検討課題も多い」と話し
   ている。
  古墳時代初頭 祭祀の実態、知る手掛かりになるというもの。 一層の調査を期待したい。