今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

首相の「責任」とは何か ?

2012-05-31 10:02:49 | 政治
30日、大飯再稼動に関して首相は、「私の責任で最終判断し
たい」と述べたと報じられた。ここでいう「首相の責任」とは
何だろうか。
 
  もしも、再稼動させて原発事故が発生した場合、日本は駄
目になる、といわれている。具体的には、日本一の観光地であ
る京都市は大打撃を受けるだろう。放射能汚染で安心して飲め
るかどうも分らない水、その水で作った料理が出されるような
所に行く観光客は、激減するだろう。その時、観光業界の損失
などを野田佳彦首相は自費で全面的に補償する、という意味な
のであろうか。
 セシウムやプルトニュームなどで汚染された農地の補償はど
うか。除染費は、除染のカスの最終処分は、農産品の損失は、
市民の健康賠償は、等々数え上げれば限がない。

 これらの費用は野田佳彦氏首相として、国家財政から責任を
もって充填するという意味なのであろうか。それとも個人とし
て、自費を当てる、という意味なのであろうか。それでは、あ
と何年、首相を務めることができると思っているのであろうか。
さらに、首相を辞めざるを得ない場合、どう責任を取るのであ
ろうか。

 このように考察すると、「首相の責任」という言葉は、単な
るリップ・サービスに過ぎないことがわかるであろう。

 一度、大飯原発が発生すれば、歴史ある関西圏は大打撃を受
けることだけは間違いのないことだと推察される。

 一方、周辺自治体でつくる関西公域連合の容認が得られたと
も報じている。この点については、前から気になっていたもの
である。首長らが、反対らしき発言や質問書などを作ってアピ
ールしていたが、どこまで本心なのか、という疑問を抱いてい
たのである。それは選挙民に向けて反対といったに過ぎなかっ
たのではないか、という疑問である。最初から再稼動ありき、
だったのではないか、という疑問を払拭することはできない。
随分と手の込んだ芝居を見せられたのであろうか。

 地域住民の犠牲よりもメリットだ、というのであれば、万一
の責任は、首長ばかりでなく、結果的に住民責任になることを
肝に銘じておく必要があるのではなかろうか。