今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

同時進行する寒冷化と温暖化の下での羽越線脱線事故

2006-01-01 23:05:15 | 環境
 地球は現在、寒冷化と温暖化が同時進行している。
このことは2005年1月13日の本欄「レスター
ブラウン氏の『地球の未来は楽観的』に疑問を呈す
る」の中で指摘している。
 すなわち深層海流と表層流は、一部でインド洋と
北太平洋に分かれるものの、大局的には一つの流れ
として海洋のベルトコンベアーとして地球を循環し
ている。これまで南太平洋から北上する暖かい表層
流はグリーンランドの手前で海底にひずみ深層海流
となって循環している。しかし、温暖化による氷な
どが融解するため、塩分濃度の関係で海底にひずみ
にくくなっている。このため、温暖化がさらに進め
ば、海洋のベルトコンベアーはストップするのでは
ないかと心配されている。そうすれば北欧の各国は
寒冷化することになる。
 一部の学者は、寒冷化と温暖化の同時進行によっ
てバランスがとれて、人類の危機は回避されるので
はないか、と予測している。
 しかし、一部の地域で寒冷化したとしても、温暖
化の原因である大気中の炭酸ガスなどが減ることは
ない。したがって、温暖化は寒冷化を凌駕して最終
的には温暖化がさらに進むことになるものと思われ
る。
 そのような地球環境の現状の中で、寒波の影響に
よる羽越線の脱線事故が発生した。5人の死者と3
2人の負傷者を出すにいたった。まことにお気の毒
なことである。また、日本海側の各地で雪による多
大な被害も出ている。
 これらの原因の一つとして、寒冷化と温暖化が同
時進行しているということを正しく理解する必要が
ある。それよりも恐ろしいのは、海洋のベルトコン
ベアーがストップした場合、地球環境は完全に崩壊
し、地球の環境システムはメチャクチャになること
である。もしもそうなった場合、どのような環境や
気象状況になるのか、恐らく科学者であっても予測
つかない状態になるだろう。
 野僧は科学者ではない。科学者の使命は重い。科
学者は自惚れた気持ちを捨てるべきである。