今週の法話

法華宗北海寺住職-二王院観成による仏教用語と法話集です。毎週水曜日に更新いたします。

中西衆議院議員の辞職は対岸の火事に非ず

2005-03-16 22:54:40 | 人間の本性
 酒を飲んだ勢いで、若い女性の胸を触ったとして強制
ワイセツで逮捕された中西衆議院議員(40)は、議員
辞職した。政治家としてばかりでなく、一般の人として
も許される行為でないことは分かり切っている。
 しかし、酒を飲んだ上でのことであり、普通の男性な
らば、誰でも陥りやすいことではなかろうか。その意味
からしても、まことにもって同情に耐えない。
 若い中西議員は、前途を嘱望されていただけに残念な
事件だった。何よりも本人自身が痛恨の思いであろう。
 また、大学教授が手鏡で女性のスカートの中をのぞき
見たとして逮捕され、現在裁判中である。
 このように政治家、大学教授といった名誉ある立場に
いる人でも所詮は凡人である。何度もいうように、すべ
ての人間には地獄の心から仏の心にいたる10の心があ
る。当然、色情や金や権力を求めるあまり、人間として
の正当性を見失うことがある。どんな人間でも、男女の
区別なく、その罠にはまりこむ危険性を抱きながら生き
ている。まさに山頂の分水嶺を歩いているようなもので
ある。右から強風が吹けば左の谷底に落ち、左から風が
吹けば右に転落するのと同じである。場合によっては殺
人事件を起こす場合もある。
 ブッダはいっている。
「これらの人々こそ哀れみを与えるべき人(悲器)であ
る」。
 対岸の火事と見ずに、また非難の対象とするのではな
く、自分自身の自戒の契機とすべきではなかろうか。
 中西議員も大学教授も、早く立ち直ってほしい。