普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

過熱する日本人技術者争奪戦

2011-08-12 12:03:53 | 企業経営

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 昨夜のNHKの追跡AtoZ「過熱する日本人技術者争奪戦」と言う次のような内容の番組を見ました。
“日本のお家芸”として長年世界に君臨してきた「テレビ開発部門」にも、リストラの波が押し寄せている。トップ技術者でさえ、行き場を失っている今、そのノウハウに目をつけた韓国や中国のメーカーが、日本人技術者の激しい争奪戦を繰り広げている。「活躍の場が与えられてうれしい」と転職を歓迎する人、「アジア企業で力をつけて再び日本に戻りたいけど、受け入れてもらえない」と嘆く人。海を越えて働く技術者の思いに迫る。 (NHK番組紹介より)
その中で特に気になった点を拾ってみました。
・TVなどで今や世界最大近くになった韓国のサムスン、LGなどが日本企業でリストラされた技術者を大量に受け入れていること、 (サムスンは元々日本の技術者を受け入れることで大きくなった会社ですが)最近では同社の発展に伴い受け入れの基準が厳しくなっている。
・中国の企業がヘッドハンターを通じて日本の技術者を受け入れようとしているが、その条件は2年間、詰まり要るのは技術者の持つノウハウだけと言うこと
・LGに入った技術者は同社が、彼の日本企業に入社当時のチームワーク中心と同じ社風を持っていたと語り、彼のもといた会社が成果主義の導入でばらばらになってしまったと嘆き、一方もう日本の会社に戻る気はないと言っていた。 
・日本企業の反撃の例として、ソニーのTV路線からの撤退で、同社を退社した技術者が設立したアイ・キューブを立ち上げ多くの部下が彼を慕って退社したこと、同社とシャープが共同して、彼らが開発した映像用のICC半導体を用いて新型のTVの開発に乗り出した。
[私の意見]
・技術流出に甘すぎる日本

 通常の電子機器分野の日本企業の後退は、日本の国内中心に見ている日本企業の営業戦略と、狭い国内市場しかない韓国企業の世界戦略の差と良く言われています。
 私は海外技術者の技術援助の仕事に参加した経験から、韓国・中国の技術者も日本人も劣らない程の能力と意欲をもっていること、特にハングリー精神は日本人以上持っていること、韓国などの大学入試・就職の厳しさから、日本全体から見て技術流出には十分に気を配る必要があると思います。
 前記番組のディレクターもこの問題で余りにも日本は甘すぎると嘆いていました。
・日本株式会社復活へ
もう一つの問題は、日本の小泉さんの時代に米国からの年次改革要望書などに従って、規制緩和を進め、市場中心主義、自由経済のもと後は企業の自己責任として仕舞いました。
 そして起こったのは日本国内での企業の足の引っ張り合いと、電子関係で言えば技術のガラパゴス化です。
 一方韓国は企業統合、EUとのEPA加入、政府主導の原発輸出など日本が得意に「韓国株式会社」化を計り成功しました。
 一方、日本の海外技術者の援助では、韓国・中国の技術者は自主管理活動など日本型経営の良い所も取り入れて来ました。
 その日本では先の技術者が嘆いたように、一部の会社では米国型の成果主義で日本得意のチームワークの良さをなくして仕舞いました。
 私は市場中心主義、自由主義経済は避けられないと思いますが、その中でも日本株式会社としての国の役割は無視出来ないような気がします。
・団塊世代の退職に備えるべき
 日本はいよいよ大量の団塊の世代の退職者が出て来ます。
 彼らがもし日本企業での再就職が出来なければ、今まで以上に中国・韓国などのライバル国に技術の流出が起こる可能性があるかも知れません。
 日本は前から言い古されたように、人的資源しかなに国です。
 大量の優秀な技術や伎倆を持った人達、しかもまだまだ働ける人達をいかに活かしてゆくかを良く考える必要があるような気がします。
 「人口減少→必要な労働力の不足→海外進出」と、「技術者と技術の流出→企業の競争力のさらなる減退」の二重の損失をいかに防ぐか、企業だけでなく国としていかにあるべきかを考える必要があると思うのですが。
 日本として「企業の個人的な責任だ」では済まされないと思うのですが。

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1 コメント

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Unknown (誠に残念ながら)
2011-08-14 07:57:24
日本はいよいよ大量の団塊の世代の退職者が出て来ます。
 彼らがもし日本企業での再就職が出来なければ、今まで以上に中国・韓国などのライバル国に技術の流出が起こる可能性があるかも知れません。

これですね、私は投資なんぞをやってますが
株式やら債権やらの他に、手あまりの資金を
よく起業を志す方に投資して、バックアップしたりもするんですがね・・・

しかし、困った事にリスクをとって起業を志そうかという人物が本気で居ないんですわ。
(技術があってそこそこ人脈を築いてるリタイア世代の方に話をよく持って言ったりもするんですがね・・・)
結局、自分ではリスクをとらず会社にぬくぬく
としていたいっていうのがホンネなんだな。
とつくづく思った次第でありますわ。

そりゃ、雇われをこの状況下でも続けたいっていうのなら仕方ない。
会社の都合に合わせないとね・・・

それがいやなら、投資したがってる(私のようなのが他にも探せば居ますよ、ええ)人なり
銀行の方と上手にお付き合いして人脈を築くなりして起業しなされや・・・としかおもえませぬ。
老世代もすこし考え方を改めるべきでしょうね。
時代はかわる俺は変わらんでは、困るのですよ。
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