菅改造内閣として初の国会となった今臨時国会は、補正予算案が成立しただけで、政府提出法案37本の内、成立したのは14本、新聞によれば、秋の臨時国会での成立率は過去20年間で3番目の低さだそうです。
先送りになったの中には、地球温暖化対策基本法案、地域主権改革関連法案、労働者派遣法改正案、郵政改革法案など民主党政権の目玉政策が目白押しです。
この他にも菅さんが自ら唱えた、消費税率引き上げや、TPP加盟と農業問題、鳩山さんから引き継いだ普天間飛行場移設など、碌に討議しないまま、臨時国会は閉幕しました。
この理由について読売の社説は次のように指摘しています。
・「ねじれ国会」で、法案・政策ごとに野党と連携する部分連合の失敗
・中国漁船衝突事件の対応、北方領土問題対応の失敗→内閣支持率の大幅な下落→公明党から見放された(この両問題の根源は鳩山さんの普天間基地問題処理の失敗により、日米同盟の弱体化と中国・ロシヤにその間隙をつかれた識者が指摘しています。)
・小沢一郎元代表の「政治とカネ」をめぐる国会招致の失敗→も民主党には自浄能力がないとの印象を強めた
・小沢氏は小沢氏支持派の結束を誇示して執行部を牽制する動きも見せている。
・自民党を中心とする野党の仙谷、馬淵両氏との審議拒否
これを見ますと、(問題だらけまたは大きな問題含みの)民主党の政策の行き詰まりと言うよりは、部分連合の失敗を除いては、鳩山さんの失敗と党内事情だけで今のような非常事態でろくに審議もされずに臨時国会が終了してしまったように見えます。
詰まり野党の小沢招致の要求、仙石、馬渕さんとの審議拒否に菅さんも民主党も何もできずに、このまま会期を伸ばせば野党の小沢、仙石、馬渕三氏への追求が続き、それに応えれば民主党内の分裂になるばかりだとの思いで、臨時国会を閉じたとのマスコミの指摘が当たっているような気がします。
これで何時も思うのですが、鳩山さんは論外として、小沢さんとその支持グループは何を考えているのでしょう。
・内外の大きな問題に直面している菅さんの足を引っ張ってどうしようとしているのでしょう。
今までの小沢さんのやり方を類推して考えると、菅さんを窮地に追い込んで、代表選に持ち込み、小沢さん代表→首相に持って行くしかないと考えているのでしょうか。
・小沢さんは検察審査会の議決により、否応なしに強制起訴されるでしょう。
しかし憲法では「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない」とされているので、小沢さん自身が同意しなければ、在任中は起訴できないというとんでもない事態になります。
然しそれが通っても国民は小沢さんを支持するでしょうか。
小沢さんを支持する人達は、彼(彼のロボット代わりになる人)が快刀乱麻の働きで、今までの懸案をバッタバッタと片づければ、その内に内閣や民主党の支持率が上がると思っているようです。
小沢さんが本当に国のため働くとすれば、民主党の公約で言えば、公務員制度改革だけは彼らしい強引さでやれそうですが、今までの公約を無視して選挙民を甘やかすその他のばら蒔き政策の大転換をしなければならないと思います。
日本の将来のために、国民に取って厳しい政策をとるためには国民の支持がいるし、そうせずに甘い政策を続ければ後記のように日本は完全に「アウト」です。
然しその前に代表選を勝たねばなりませんが、国民の信頼を全く失った鳩山さんともう完全に見限られた民主党の公約を遵守すると言う小沢さんの勢力が勝てると思っているのでしょうか。
彼らは自分の地域の人達の意見を無視するわけにはいけませんし、サポーター票は直接選挙に影響します。
一方菅内閣も今回40%を切る法案の成立しか出来なかった状態が次の国会でも続くのは間違いないでしょう。
そして年金など社会保障のためには避けられない消費税率引き上げや、TPP加盟するか否かは別として、一部の識者が言うようにこのままでは崩壊するかと言われる農村のために避けて通れないと言われている農業問題、完全に固定化しそうな普天間飛行場移設問題がまた、先送りされそうな状況です。
TPPは別として、韓国はFTAを米国と締結し、今でも韓国の追い上げに苦しんでいる製造業界から悲鳴が上がっています。
国内農林水産業の強化を図る政府の「食と農林漁業の再生推進本部」では、改革の中心となるべき(私の意見では農村の癌である)農協の改革のテーマは外されたそうです。
そしてそして過去の自民党政権と同じように、民主党政権もまた日本の抱えている問題を、自党の政権維持のために先送りしてしまうのでしょう。
その結果起こる問題は日本沈没です。
日本の成長期には学者や評論家は、製造業中心の経済に政治が何もしなくて良かったと言う人も多かったようですが、日本と環境がよく似た韓国の例でみるように、今こそ政治の出るときのような気がします。
先ず民主党は不毛な党内の争いを止めて協力一致して菅内閣を支えること。
最大野党の自民党は政権追い落としも政治家として当然かもしれないとしても、政権奪取の先を睨んで、長期的視野に立った政策を見直すべきだと思うのですが。
そしてまた半世紀に渡ってやって来た、(農協問題のよう)ややこしい問題の先送りをしないように。
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