普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

避けて通れぬ消費税増税論議(自民党と麻生さんの政策課題(4))

2008-12-17 17:27:04 | 麻生内閣

14日から書いている自民党の抱える問題点のシリーズの続きです。 (*注記)

[後藤田正純さんの意見]
 昨日の朝、テレビのスイッチを入れると、テレ朝の「スーパーモーニング」で自民党の後藤田正純さん
が、民主党が雇用問題に関する法案を政府より先に提出されたことを鳥越さんなどからつつかれていたところだった。
 然し、話が政局に及ぶと後は後藤田さんの筋の通った話に皆が聞き入りだけでまるで彼のワンマンショーだった。
・渡辺喜美さんへ「今は吠え捲くるより、黙って麻生さんを支えて行くべき」と助言した
・今のように政治が流動化し、結果として何も進まないのは、自民党も民主党も派閥の持つ基本政策の幅が広過ぎことだ
・その為にはしっかりした信念を持った人達(渡辺さんを含む)を集めた第三の政党が必要
消費税増税は避けられない(他の人達の質問に答えて)挙の際はその政策を打ち出して戦うべき

 自民党に批判的な人達を集めた「スーパーモーニング」のコメンテーターや当日出演していた朝日新聞の三反園記者も彼の意見を聞き入るほかないほどに筋の通った意見だった。
 後藤田さんのホームページを見ると彼は与謝野さんの影響を受けての発言のようだし、その政治経歴も必ずしもすっきりしていないが、彼が日本の政治の将来を担う政治家の一人として成長して欲しいものだ。

[消費税増税]
 麻生さんの持論の3年後の消費税増税は、マスコミからは定額給付金というばら蒔きの後そんなことを言えば、国民の消費意欲を無くすだけだ、自民党からは消費税増税など言えば次の衆院選を戦えないとの批判が根強いが、麻生さんは依然として3年後の消費税増税に固執しているようだ。

 私は基本的には麻生さんの考え方に賛成だが、素人の私が色々書くより読売新聞の社説 の一部を引用させて頂く。
・社会保障費の「削減路線」はすでに破綻している。
・高齢化の進行に伴い、社会保障費は、毎年約8000億円のペースで自然に膨らんでいく。
・「削減路線」を維持する新たな財源としてたばこ税を引き上げ、1000億円規模の財源を確保して社会保障費にあてようとしたが、選挙への影響などを懸念する自民党内の圧力に押され、土壇場で見送った。 (たばこ農家の自民党への支持率低下を恐れた)
・雇用保険に拠出してきた1600億円規模の国庫負担を廃止する案、政府管掌健康保険への国庫負担1000億円を企業の健保に肩代わりさせる法案の成立はすでに断念した。
・後期高齢者医療制度の保険料引き下げなどに伴い、第1次補正予算でも、大幅な追加支出をしている。
・基礎年金の国庫負担割合を2分の1まで引き上げることについても政府の腰は定まっていない。
・法律で「安定財源を確保した上で2009年度までに実施する」と4年前から決まっていたにもかかわらず、 「安定財源の確保」を怠ってきた
必要な約2・5兆円を安定的に確保するには、消費税率を引き上げるしかない。分かっていながら、議論すら避けてきたツケだ。
・政府・与党は、来年度については特別会計の積立金、いわゆる埋蔵金を取り崩して帳尻を合わせる方針だが、安定財源とは言えない。
 読売の社説は社会保障費に限っての議論だ。
 それに加えて、麻生さんは経済・雇用対策として総額40兆円の支出を発表したが、少なくともそれに対する大きな反対意見は政界やマスコミからは出ていない。
 然しその財源についての議論は殆どされていないが、誰が考えても、この状況は単年度だけで済ませられる問題でなく、仮に埋蔵金で当面凌げても、麻生さんの言う様に景気回復が三年かかるとすれば、再来年度からは現在でも膨大な赤字国債の発行に頼るしかない
 そして現在の負担を次世代に残さないためには、今の苦しい財政状況の中では、消費税増税でこれを少しづつ返して行くしかない
 まさに麻生さんの言う様、消費税増税の経済(経団連は消費税増税を提案している)や国民の生活に直接影響する難しい問題を取り組むべきだと言うのは正に正論だ。
 そして後藤田さんが言う様にこの問題を堂々と掲げて衆院選を戦う考え方には筋が通っている。
 これらを阻む最大の原因は、これが自民党政権の命取りになるかも知れぬことだ。
 自民党やマスコミは麻生内閣の支持率急落までは、民主党の政局至上主義を批判し国民のほうに眼が向いていない批判してきた。
民主党を批判してきた当の自民党が政局ばかりに眼を向けて、世論調査の支持率は見ても、長い眼で見てどうすれば国民のためになるかには眼を向けていないこと
・後藤田さんが指摘したように、派閥の政策の違い→党内基盤の弱い麻生さんの政策のぶれ
・そしてそのためにやらねばならぬことが判っていても出来ない自民党政治への批判
が麻生内閣の支持率の急落に繋がっているのだ。

 政権交代論者の私の立場から言えば、私は麻生さんがその持論を通して与党を説得し、場合によっては、消費税増税を公約にして衆院選を戦って貰いたいと思う。
 国民は世論調査でみるように所得税増税にある程度の理解を示している。
 国民は選挙に不利になる増税を敢えて打ち出して戦う麻生自民党の本気度を評価するかも知れない。
 それで仮に自民党が負けても、少し頼り無い所もあるが国民が一度はやって貰っても良いなと思う民主党がいる。
 頼り無いと言えば自民党も同じだ。
 前にも何回か書いた様に、価値観の全く違う社会党が野党第一党の時代は終わったのだ。
 村山さんを担いだだけのことが、今まで、そして将来までずっと引きずるかも知れない日本人の歴史観の問題や、その下にいた河野さんの慰安婦発言に繋がっているのだ。
 民主党は私の希望的観測だか、少なくとも旧社会党のように、日本の将来に大きな禍根を残すことはしないだろうし、党自身のためにも社会党の二の舞をすることはしないと信じたい。

 例え自民党が消費税のことで負けても、消費税増税を大々的に議論することは日本の将来にとって大きな価値があると思う。

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*注記: [自民党と麻生さんの政策課題]
自民党政権が国民に負うべき責任

・先進国の中で飛び抜けて大きい債務残高
・戦後から殆ど手つかずの官僚制度
・日本人の国民性に合わない労働者派遣法の制定と労働基準法の改正

国民が自民党と麻生さんに求めているもの
・首相の強いリーダーシップ
・適切な経済対策

自民党として考えて欲しいこと
・自分より国民優先、国民からいつも見られていること
・首相を中心とする挙党一致
・戦う姿勢を忘れぬこと
・筋を通すこと
・筋を通すためには次期選挙戦の敗戦を恐れぬこと
・社会党が野党第一党時代の甘い時代のことを忘れること

(太字は今日のエントリーに関係する問題)