普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

後期高齢者医療制度の本当の問題点

2008-04-17 12:31:19 | 少子高齢化

 現在、後期高齢者医療制度について、後期高齢者の名前が悪いとか、年金問題が盛んに言われている時にその保険料が年金から天引きされるとか、高齢者の生活を圧迫されるとか、保険証が届かないなどの多くの問題がマスコミを賑わせている。

[後期高齢者医療制度の基本的な問題点]
 然しこの制度の発想の原点は、増え続ける高齢者の医療費を削減するために、医療制度を合理化しようとしたことと、それが現実とかけ離れていることだ。
療養ベッド数の縮小
・長期療養者のためのベッド数を減らして、介護施設にいれるか自宅療養させよう。
 問題点:
  現在既に、長期療養者のための医療費削減で、大病院で最初の処置を終えた人が追い出されて、他の病院でたらい回しにされている。
 介護施設に入れて貰うのに順番待ちの状態だ。
 それで多くの人達が老老介護で手を取られているが、この傾向は悪化するばかりだ。

かかりつけ医制度
・今まで所謂乱診乱療の弊害を防ぐために、地域ごとにかかりつけ医を決め、そこで一纏めに治療することで今までの各病院バラバラにしかもダブってやっていた検査、投薬の弊害を抑える。
問題点:
 この発想は良いが、その医療費を一括して6千円と決めてしまったことだ。
 これに対して、個々の症状に応じた検査や治療しようとする、良心的な医者も否応なく手を抜くしかない。

後期高齢者医療広域連合の問題
・新制度は後期高齢者医療広域連が主体で運営する。
問題点:
 手持ちの予算が限られている、同連合が地域の実情にあった運営と、それに伴う保険料を決めようとしても、限度が限られている。
 それで高齢化が進んだ地域(詰まり、後期高齢者医療制度のより必要な地域)程、保険料が高くなり、そして高齢者への治療がおろそかになるのが眼に見えている。

若い人達の後期高齢者支援 
・後期高齢者への医療給付は、後期高齢者自身の保険料で1割、その他の医療保険者つまり若い人達から「後期高齢者支援金」として4割、そして残りの5割を国や県・市町村からの「公費」として、まかなう仕組みになっています。
問題点:
 今後確実に増えると予想される後期高齢者の絶対数が増えた時、その医療費用を公費、若者、老齢者のいずれが負担するか問題になる。
 特に団塊の世代の人達がしたがって、今後、後期高齢者医療制度の該当者になったとき、医療費自体の増加の問題と、年金問題と同様に、頭でっかちの高齢者の医療費を少ない若者が支援するなど、問題が大きくクローズ・アップするのは間違いない。

[問題点の基本的な問題点]
 私は14日の 後期高齢者医療制度について
でこの制度のお世話になる立場から制度の問題点を書いてきた。
 そして、この制度の基本的な問題点は、政府が誰でもが判っている少子高齢化の進行と、それに伴う問題点の発生について、事実上無為無策のまま解決を先送りにしたことだと書いた。

民主主義国家の制約
  少子高齢化の問題は言うのは易いが、解決は非常に難しい問題だ。
 これが戦時中なら「産めよ増やせよ」と国民に発破をかけることが出来る。
 中国のように一党独裁国家なら、人口の増加を防ぐために一人っ子政策を進めることきが出来る。
 同じ一党独裁国家のシンガポールは政府や企業の幹部クラスの女性の子供に進学校への優先入学権を与える事で、優秀な母親が優秀な子供を産ませようとしている。

 然し、何よりも国民の意志を尊重し、国民全てに公平であるべきとする民主主義の国である日本はこんなことは絶対に出来ない。
 だから専業主婦にも、キャリヤー・ウーマンにも不公平にならない様、乏しい予算の中から恐る恐る託児所などの設備を作り、他の人とのバランスを考えながら育児休暇を作る。
 年金でも健康保険でもそうだが、若い人達が高齢者を支えるのだからと、子供の数に応じて、掛け金とか保険料を安くしたり、喫煙による病気の発生や悪化により医療費がかさむことが判っても、他国のように喫煙者に健康保険料を増やすことも出来ない。

国民の意識
 少し資料が古いが、13年に世田谷区が行った男女共同参画に関する区民意識・実態調査報告書
によると
少子化の原因(複数回答)として、
・経済的負担が大きいが女性が 42.9, 男性が 51.8 は判るが、
子育てより自分達の生活を楽しみたいが 42.9 と 48.6 で、
・保育施設、育児休暇が整っていないの 26.5 と 18.6 を大幅に上回っている。
 これでは、前に書いた託児所などの設備、育児休暇など少子化対策としてやらなくてはいけないが、その効果があまりないことが判る。

 少子化が問題になって居たとき、ある批評家が国民がそう考えているのだからそれで良いのだと呆れた発言をしていた。
 そして少子化の結果が今の年金や後期高齢者医療に大きな影を落としているのだ。
 そして、今の団塊の世代が後期高齢者の仲間入するとき、消費税のアップとか福祉税など創設をしない限り破滅的な状況になるのは眼に見えている。
 小泉さんは 800兆の赤字を埋めるために、医療制度にもメスを入れた。
 然し、消費税や少子高齢化などには殆ど手を着けなかった。

シンクタンクの設置 
 私は、日本が抱えている大きな問題、例えば、石油資源枯渇の問題、米国にこのまま依存して行くのか、800兆の負債、丸呑みのアメリカ型市場経済について基本的に研究するシンクタンクの設立を提案してきた。。
 そしてその中にも少子化の問題も含めてきた。

 問題は若い人達の意識を如何に変えて行くかという、民主主義国家では難しいが避けて通れない問題だ。
 小泉さんの様に、規制改革は進めるが、後は自己責任では済まされない問題だ。

  前にも書いたが、日本の出生率は2006年には1.32になっていいる。
 この数値は長期的に人口を維持できる水準の2.07より遥かに低く、人口減少、高齢化の促進につながると言われている。
  これは今までの政府が目指してきた経済の拡大どころか縮小、外国人労働者の輸入に伴う社会格差の発生など少子化から派生する問題が大き過ぎる。

  経済学者はこれからは輸出より国内消費の増加を目指すべきだと言うが、少子化はその縮小に繋がるものだ。

  日本は当面の高齢者医療制度の円滑な推進とともに基本的な少子化の問題もじっくり取り組んで貰いたいものだ。

参照:日本経済と社会問題の見直し 
       
その場凌ぎの政治から抜け出すために 

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