普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

都立和田中学校の教育実践

2007-02-08 21:58:08 | 教育問題

2月8日の読売テレビのワイド・ショーで有田芳生さんの杉並区立和田中学校の「よのなか科」のレポートがあった。

1.「よのなか科」の授業
「よのなか科」は民間から来た藤原校長が担任で、他校の教師や一般の人の参加しての授業だ。
その日のテーマは「ホームレス」。
最初に生徒達に「ホームレス」についての印象を書かせ、次は大人も混じってのグループ討議。
「ホームレス」は追い出すべきとその反対の意見が二つ出た。
そして新宿でごみ拾い活動をしているホームレスの人の登場。
彼らと生徒達や父兄とのQ&A。
その内、生徒の反応ががらりと変わった。
生徒の中には涙を浮かべている生徒もいた。

その日は敢えて全体討論をしなかったそうだが、これだけで大きな教育の成果が上がったのを感じた。

2.土曜寺子屋(どてら)
土曜日には希望者に補習授業をやっている。


いまゆとり教育の名で、それまで土曜日に行っていた教育を地域や家庭に放り出している小、中学校はあっても、自校で補習授業をやっているのは何校あるだろうか。

3.年3学期から4学期に増やし、試験の回数を増やし、生徒に一年中勉強する習慣を付け、遅れている生徒が追いつくチャンスを与える。
「45分32コマ授業」で授業内容の充実を図る。

普通の生徒は試験がなければ勉強しないものだ。
然し、これでは教師の負担が増えると思うが皆が良く協力したものだ


4.授業前の10分の読書で年30冊の読破を目指す。
漢字の書き取りの練習。

国語力が全ての学科の基本だ。

5.修学旅行は農村に宿泊、農作業の経験をさせる。
生徒の中には帰りに感動して涙を流す生徒もいたそうだ。


生徒だけのグループで名所旧跡巡りやスキーなどで旅行するより、多くの社会勉強になるだろう。


6.そしてその成果は、藤原校長の着任前に比べると、入学希望者が約2倍に達したそうだ
そして、教師でも、転任希望者は一人も出てないそうだ。

詳細は和田中と地域を結ぶページを参照願う。

http://www.wadachu.info/toppage.php

ホームページにはさらに詳細の記述があるが、ここではテレビで見聞きした範囲のことだけにとどめて置く。

テレビでは出なかったが、上に書いた以上の学力向上の所策が取られているようだし、生徒指導も厳しくやっているそうだ
これで和田中の教育は「よのなか科」だけでなく、細かいところまで配慮が行き届いているのが垣間見える。

藤原先生のやられている事は、まさに私が兼ねてからの主張の授業に民間の参加、地域との協力、読書力の向上、土曜日のゆとり時間に教師の参加などなど、余り変わらないところもある。

然し、言うまでもなく私の机上の空理空論に比して、恐らく導入から展開の間の教師との意見の調整や軋轢を乗り越えて、これだけの成果を上げたことに格段の価値のさがあるのは勿論だ。
藤原先生に心からの敬意を表するとともに、さらなる活躍を祈っている。

7.「よのなか科」の意味するもの
よのなか科」は生徒に非常に良い影響を与えたと思うが、この導入によって、教師にも世の中に関心を持たせるという大きな影響を与えたと思う。
何故なら、私の身の廻りでも、学校の先生は物の道理が判らないが家内の口癖だし、永年教師をしていた私の従兄弟は同じ理由で教師には絶対嫁にやらないと言っていた。
これは極端な例だが、私の町内会は回り番で、役員をすることになっているが、教師の家にも番が廻ってきた。
彼がやった事で、一番呆れたのは、会則の見直しの前文で、「日本国憲法に基づき」が入っていた事だ。
町内会の精神は「向こう三軒両隣で皆で仲良くしましょう」であり、明らかに憲法など町内会の会則には馴染まないからだ。
これと同じ流儀で、公民館内の飲食禁止、盆踊りの際の(糖分が多いと言う理由で)ジュースの提供禁止などなど、こうて゛あるべきという教条主義が推進された
断って置くが、彼は非常に熱心に町内の為にやっていたのに感心していた。
然し、
残念なことだが、それまで続いていた、盆踊りも文化祭も彼の在任中に廃止になり、町内の活動がすっかり沈滞してしまった。
今までの、小学校から大学まで、閉鎖的な社会で教育され、社会と隔絶した学校でに居れば、世の中の常識と違った常識を持つ教師も増えるのかもしれない。
その意味で、「よのなか科」の意味するものは大きいと思う。

8.民間の力の導入

藤原先生は、彼と同じような先生が何%か忘れたが、民間の校長が入れば、ここ10年で日本の教育が大きくかわると言っていたそうだ。
たとえこれが無理としても、教師の定期的なまたは管理職就任前の民間実習でも可なりの成果があがると思う。

この学校のやり方や藤原校長の考えは、実践に基づくもので、今後の日本の教育の進むべき一つの方向を示したものだと思う。

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