うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

ドバイワールドカップデー2015

2015-04-05 01:54:20 | 競馬日記
ドバイワールドカップデーの結果と映像はこちら(ERAJRA)。例年通り1レースから振り返ります。

純アラブ馬限定GIドバイカハイラクラシック(D2000m)はManarkという馬が勝ちました。アラブ馬の血統は分からないのですが、サラブレッドの血統表でやるようにクロス馬の観点から見ると、Mandragore = Mandarine IIIクロスを伴うManaghi = Manganate 4 x 3、Flipper 4 x 4となかなかいい感じの配合です。

ゴドルフィンマイル(GII、D1600m)はTamarkuzが勝ちました。メイダンで重賞3連勝です。Speightstown産駒。父はSecretariat主導のスプリンター。TamarkuzはBold RulerとSomethingroyalをクロスしてSecretariatを生かしていますが、Secretariat自身はクロスせず、Northern Dancerクロスを伴うStorm Bird 4 x 3とMr. Prospector 3 x 4が最前面クロスになっています。母内にRobertoがあり、Mr. Prospectorとの相性の良さが生きていますが、この辺りはもはや常識的に見られるようになってきています。Buckpasserクロスもあって、ダート向き、距離は父よりは持ちそうな配合です。

ドバイGC(GIII、T3200m)は愛セントレジャー馬Brown Pantherが貫禄勝ちです。前走は愛セントレジャーから向かったBCターフは11着でしたが、適距離に戻って完勝です。

UAEダービー(GII、D1900m)はDubawi産駒Mubtaahijが勝ちました。馬主はドバイ首長モハメド殿下のいとこ、H.H.シェイク・モハメド・ビン・カリファ・アル・マクトゥームで、調教師は南アフリカのマイク・デ・コック。おなじみのチームで、Asiatic Boyと同じです。8馬身差の圧勝で、ケンタッキーダービーに向かうそうです。
半姉はオペラ賞のLily of the Valley。母父Pennekampは6連勝で英2000ギニーを制し、ダービーでは1番人気に支持されましたが、故障もあって惨敗しました。ナスルエルアラブBlack Minnalousheの兄弟で、種牡馬としてはBlack Minnalousheのみが成功しました。Pennekampは期待を裏切ったと言っていいと思いますが、Pennegaleのおかげで母父として体面を保っています。
Mubtaahijは前面に並ぶクロス馬が多いタイプ。位置、数、血量、系列から、Lyphard - Northern Dancerの影響が強いとしていいと思います。ダートに対する適性という点ではBuckpasser、Hasty Roadの影響がありそうですね。すっきりした配合ではない、ヨーロピアンな血を押さえ足りない、という点は気になります。ダート路線で行くのはいいと思いますが、どこまで活躍できるでしょうか。

アルクオーツスプリント(GI、T1000m)は昨年のカルティエ賞チャンピオンスプリンターSole Power。伊達じゃないですね。この馬に完勝したロードカナロアはかなり強かったと言っていいと思います。

ドバイゴールデンシャヒーン(GI、D1200m)は2013年のBCスプリントの勝ち馬Secret Circleが勝ちました。勝利はそのBCスプリント以来なんですね。

昨年までドバイデューティフリーと呼ばれたレースは今年からドバイターフ(GI、T1800m)とレース名を変えて行われています。勝ったのはSingspiel産駒Solow。重賞3勝目ですがGIは初勝利です。
母はHighest Honor産駒でSir Gaylord 4 x 4。レーヴドスカーと同じですね。曾祖母が同じYeovilです(High Maintenance × レーヴドスカー)。Singspielを配して、父方Haloと母方Arctic Ternから供給されるAlmahoudを内包するNorthern Dancerクロス、Mill ReefとRivermanの呼応(Lalunを伴う)、Turn-to、Princequilloをクロスして十分に生きているSir Gaylord、などでしょうかね。本当にマイラーなのかなと思うのですが、12Fのレースを勝ったこともあるのですね。距離適性の範囲はどうなんでしょう。

ドバイシーマクラシック(GI、T2410m)を勝ったのはアガカーン殿下のDolniya。Azamour産駒です。
祖母DaltawaはDaylamiDalakhaniの母。父Azamour内にDarshaanがあり、血統表内にDalakhaniが再現されています。ただし、Dalakhaniの主導だったArbarクロスは奥に引っ込み、Nearco、Native DancerのクロスからNorthern Dancerの影響が強く出ています。母父のIndian Ridgeがいいですね。
それにしてもアガカーンスタッド。最近、Ghostzapperとか、Raven's Passとか、Mastercraftsmanとか、Oratorioとか、今までとは傾向の違う種牡馬の仔も走らせているのですが、しっくり来るのはやっぱりこういう配合ですね。逆に、今までとは傾向の違う種牡馬の仔で何が残って行くかにアガカーンスタッドの将来がかかっているような感じもします。

ドバイWC(GI、D2000m)はHHシェイク・ハムダン・ビン・ムハンマド・アル・マクトゥームのPrince Bishopが勝ちました。Dubawi産駒はドバイで強いですね。
Dubai Millennium≒Prospect Bayがなかなか強烈ですね(Dubai Millennium × Prospect Bay)。残りの父の母、母の母の部分が全く邪魔をしていないどころか、6代内に出現するクロス馬Raise a Native、Northern Dancer、Sir Gaylordは全てDubai Millenniumに含まれます。非常にいい感じです。そういえばDubai Millenniumは2000年のドバイWCの勝ち馬ですね。

昨年はジャスタウェイジェンティルドンナで2勝を挙げましたが、今年は未勝利です。
ただ、ジャスタウェイ、ジェンティルドンナクラスの馬が参戦しなかったわけですから仕方がないですし、その中で昨年殿負けだったホッコータルマエがドバイWCで5着に入ったり、最近ふるわなかったダービー馬ワンアンドオンリーがシーマクラシックで3着と意地を見せたり、ゴールデンバローズがUAEダービーで3着に入ったりと、健闘したと言っていい結果を残せたと思います。ホッコータルマエはオールウェザーで殿負けで、ダートに代わって5着ですから、やっぱりダートの方がいいタイプなんでしょうし、国際レベルで十分にGI馬の力はあるなあと思いました。
結果が悪かった組では、エピファネイアは出るレースを間違えた感じで、ハープスターはまずい感じです。