うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

愛1000/2000ギニー

2012-05-28 21:06:12 | 競馬日記
愛2000ギニーはBallydoyleのPowerが勝ちました。鞍上は若き天才ジョセフ・オブライエン。英2000ギニーに続き、ここも仕留めました。
Powerは2歳時にナショナルSを勝っており、GIは2勝目。前走英2000ギニーは18頭立ての17着と惨敗でした。Oasis Dream産駒で、母父はInchinor。メジャー父系で母父がアウトサイダーというのはオルフェーヴルゴールドシップと同じです。この両馬はアウトサイダー(ただしメジロマックイーンは既に死亡)を上手く使っているのですが、日本の現役種牡馬はかなり血統が偏っており、海外から繁殖牝馬を入れずに日本国内だけで良い馬を生産しつづけるのは難しいんじゃないかと思ってしまいます。
近親に英2000ギニー馬Footstepsinthesandがいます。

愛1000ギニーはSamitarが勝ちました。Rock of Gibraltar産駒で、Danzigが系列ぐるみを作る最新の配合です。Sea the Stars産駒なんかでよく見られるようになるはずです。

仏の3歳牝馬GIサンタラリ賞はアガカーン殿下のSagawaraが勝ちました。アガカーン殿下の馬がGIを勝つのは昨年6月のサンクルー大賞典を勝ったSarafina以来で、11ヶ月ぶりです。母はラガルデールの出身で、凱旋門賞馬Sagamix、マルレ賞のSage et Jolieの全妹、クリテリウムドサンクルーのSagacityの半妹です。この母にGiant's Causeway産駒の仏2冠馬Shamardalで、アガカーン殿下の従来の配合とはかなり異なっています。こういう血統の馬をスタッドに残していくつもりで、芸域が広がったような形になるのか、それとも一過性の実験的なものなのか、10年後が楽しみです。

さて、東京優駿ですが、勝ったのはディープインパクト産駒ディープブリランテ。ディープインパクト産駒は他に3着(トーセンホマレボシ)、4着(ワールドエース)、8着(エタンダール)、9着(ベールドインパクト)でした。メンバー中最多の出走で、3頭が掲示板に乗るという、かなりいい結果になりました。2着と5着はフェノーメノゴールドシップ。どちらもステイゴールド産駒です。こちらはまさに少数精鋭でした。
ディープブリランテはジェンティルドンナと同じくLyphard - Northern Dancerがクロスするタイプ。目黒記念も同じタイプのスマートロビンが制しましたから、ディープインパクト産駒ではこのタイプが一つの形であるとともに今の東京に向いているということでしょう。
ディープインパクト産駒のGI馬はこれでディープブリランテ、ジェンティルドンナ、リアルインパクトマルセリーナジョワドヴィーヴルの5頭。ディープブリランテの母ラヴアンドバブルズは仏GIIIクロエ賞(1800m)の勝ち馬、ジェンティルドンナの母ドナブリーニは英GIチェヴァリーパークS(6F)、英GIIチェリーヒントンSの勝ち馬。リアルインパクトの母トキオリアリティーは米産で日本で走り、下級戦の短距離馬でしたが、繁殖牝馬としてはGIIIオーシャンS(1200m)のアイルラヴァゲインを出しています。マルセリーナの母マルバイユは仏GIアスタルテ賞(1600m)の勝ち馬で他にマイル重賞を2勝、ジョワドヴィーヴルの母ビワハイジは持込の阪神3歳牝馬S(1600m)馬で、年度代表馬ブエナビスタ、重賞勝ち馬アドマイヤジャパン、アドマイヤオーラを出して繁殖牝馬として大成功しています。全て舶来血統の上質な牝馬の仔ですね(更に中距離以下での実績がある馬が多いです)。そもそもディープインパクトの相手は前代未聞のレベルの高さで、そもそも舶来血統の良血牝馬がほとんどではありますが、「舶来良血牝馬相手なら期待に応えて見せます」と言われても国産の牝馬を抱えている中小牧場は困ってしまうでしょう(もともと種付け料が高いので、そうそう手が出るものではないですが)。ディープインパクトがリーディングを狙える種牡馬であったとしても、国産血統の牝馬相手では名種牡馬だから走ってくれると思わない方がいいということで、国産血統の牝馬にはそもそも付けない方がいいということでしょう。例えばオリエンタルアートにはステイゴールドの方がいいでしょうし、オイスターチケットにはクロフネの方がいいかもしれません。今のところ自前の配合で活躍馬を生産し続けることには貢献しない種牡馬であるという傾向ですから、ディープインパクトを付けても問題がない牧場は海外の牝馬を導入できる資金力があるところに限られてしまいます。