うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

見たことのない競馬

2009-06-09 19:43:09 | 競馬日記
安田記念は見たことのないほどすごい競馬でした。残り2F過ぎるところまで完全に包まれていて、更にストライドを伸ばしかけたところで挟まれ、それでもそこから一瞬で加速して先に抜け出したダービー馬を捉え、ゴール前は手綱を押さえる余裕があるというのはありえないです。

フジの中継で、レース直後に豊の好騎乗であるかのようにアナウンサーが言ったのは目の前で起こったことを消化できなかったからでしょう。楽に前が空いていたら簡単に勝てたのはレースをよく見れば分かることですが、あの競馬を見た直後に整理して何かをコメントするのは難しいかもしれません。

スポニチで「不利が結果的に好転」と前が詰まったことが良かったかのような見出しになっているのも(記事)、記者自身の常識を外れたレースを常識の範囲で理解しようとした結果でしょう。柏木集保や坂井千明が「強い相手がスパートしているんだから普通は無理」(記事)、「普通なら差し切れない」(記事)と書いているのが正解でしょう。

あり得ない勝ち方を見たときに、それをマジックやトリックとして理解しようとすることは珍しくありません。
例えば桜花賞で大外枠に入って出遅れながら勝ったシャダイカグラは、単に出遅れただけなのですが、わざと出遅れた、豊マジックだと言われました。
今回も溜めたわけではなく(マジックではなく)、結果的に溜まったのが幸いしたわけではなく(トリックではなく)、馬が強かっただけですね。
ただ、出遅れても、直線で前が壁になっても、平然と勝利に導いた精神力をマジックだと呼ぶなら、それもいいかもしれません。
それにしてもオークスのブエナビスタといい、失敗したときにどうするか、どうやって馬に助けてもらうか、が勝利の鍵となることを痛感しました。慌てないことが勝利の秘訣です。ピンチでも我慢です。辛抱は金の棒なりですね。