裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

風邪をこじらせる

2009年02月01日 02時49分04秒 | Weblog

「風邪をこじらせる」と最初に表現したひとはすごいなあ、と、風邪をこじらせてあらためて思いますね。
「風邪がひどくなる」では、症状が単純巨大化した感じだし、「風邪が深刻になる」では、説明的すぎるわりに抽象的すぎるし、「風邪に攻め込まれる」では、浸透の深さは表現できても、多頭多足で執拗なあの諸症状の陰湿さにまで迫り切れない。
「風邪をこじらせる」・・・観念を画づらで見せるようなユーモア、そしてその描き出すところのリアリズム。
実にかゆいところに手が届いてます。
「風邪を」と、自分に主体を置いたのもすごい。
「夢をくじく」と同じひとがつくりあげた文体に違いありません。(うそ。たぶんちがう)
ひとが集中して耳を利かし、音を拾おうとつとめることを「耳を澄ます」と言うわけですが、これも美しい表現です。
聴覚が透明に澄む・・・
静謐の中に、いっこの音が生き生きと立ち上がってくるさまが見えてくるようではありませんか。
文学的表現が、いつの間にかひろく一般に使われるようになった例はたくさんあるけれど、こういう言葉をコレクションするのはたのしい作業です。
そして、自分でもつくってみたりするのは。
日本語のスタンダードは、どんどんクオリティの高いものへと(つまり、よりジャストフィットするものへと)変遷していくのです。

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園

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