１２０１ 戦争

朝からWii Fitのことでケンカになりかける。
私は以前から興味があったのだが、具体的にどんなものなのかよく判らなかった。
で、今朝くわしいサイトを見つけたので読んでいくうち、やっぱりすごく欲しくなってきたのだ。

「そんなの何になるん」
「なにって・・・体にいいんだよ。　居ながらにしてジムに行くようなもんだよ」
「そんなんカラバラやっとったらいいやろ」
「いやあ、さすがにちょっと飽きちゃった」
「はぁ～？」
「ウィーフィットは４０何種類もの運動ができるんだって」
「・・・・・・・・」
「ヨガもあるんだよ。　私は激しい運動だめだからヨガがやりたいな」
「誰がやるん、そんなもん」
「誰って・・・みんなやってるよ。　サラリーマンとかOLとか主婦とか中年以降の人とか。　忙しくてジムに通うヒマがないとかウオーキングする時間がないとかそんな人たちも・・・・・」
「いやぁ、ヤメとき、そんなもん」
「そんなもんって・・・なにも知らないのにそんな言い方しないでよ。　（気持ちを静めながら）　とにかくさあ、この詳しいサイトを見てみてよ。　私の言ってることゼッタイ解かるからさあ」
「あのなぁ、そんなこと言うけど、今までに買ったもの、全部続かんかったやろ」
「カラバラ、ずっと続けてるやん」
「それだけやないやろ。　自転車とかも買ったけど全然使わんやん」
「あれはしょうがないよ、合わなかったんだもん。　そんな過去のこと持ち出さんといてよ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「とにかくさあ、ゼッタイにいいからウィーフィット！　見てね」


まあ最近はチビの手術代やらナンやらで出費続きなので、ニガイ顔されるのもムリは無い。
また頃合いを見計らって頼んでみることとしよう。


例の４歳児用のシールを買いにダ○エーへ行く。
ゲームコーナーの前を横切るときウィーフィットの箱があったが　‘只今品切れ中’　の貼り紙がしてあった。
「ホラホラ！！　ちょっと見て見て！！　　ねっ、すごい人気でしょ、やっぱり」
Ｎはフンという顔で行ってしまったが、ちょっとは判ってくれたかな。

帰宅後、母の友達のＲ子おばちゃんからTEL。
チビちゃん元気？とのことで、おかげ様で手術前より元気になりましたと答えると
「あ～よかった！！　こんなの生きてるのに失礼かも知れないけど、オバチャンね、毎日チビちゃんの写真飾ってお線香焚いてるのよ」

それはありがたい。

「それでね、般若心経も読んでるのよ」

Ｒ子おばちゃんは、戦時中、軍からの命令で泣く泣く差し出さなければならなかったクロという犬のことを未だに忘れられず
そのクロの生まれ変わりが、なぜか我が家のチビに思えてならないらしいのだ。
時おり涙で声をつまらせながらシャベるＲ子おばちゃんの話を聞きながら、私もいつしか泣いてしまった。
「エミチャン、おばちゃんはね、この歳になっても犬のことさえ忘れられん馬鹿やけど。　でもね、おばちゃん、どうしても、どう考え直そうとしても、皇○の人たちを見ると素直な気持ちになれんのよ。　あの人たちが犬なんかを抱いてるのを見ると、どうしても怒りが込み上げてくるのよ」
「それでね、こんなこと誰にも言えんでしょ。　だからゴメンね、今言わせてね。　あの人たちが悪いってわけじゃないけど・・・・けどやっぱり、どうしても許せん気持ちになるのよ」

戦争の傷跡というのは、皆それぞれ違うかたちで心に刻み付けられているものなのかも知れない。
そしてその世代の人たちも、もう間もなくこの地球上から消えてしまおうとしている。

電話を切ったあと、やりきれない気持ちになった。



おわり