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徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

露悪/「ブルーマンハッタン 黄昏のニューヨーク」「哀愁の摩天楼」

2008-02-07 07:02:56 | Movie/Theater
ブルーマンハッタン/黄昏のニューヨーク
Greetings/1968/アメリカ
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:ジョナサン・ウォーデン、ロバート・デ・ニーロ、ゲリット・グレアム、リチャード・ハミルトン
<ニューヨークで暮らす3人の若者たちは、定職もつかずにそれぞれ自分のことに夢中。ポルノ映画作家のジョン(ロバート・デ・ニーロ)は他人を覗き見し、盗み撮りに精を出す。ポール(ジョナサン・ウォーデン)は女性を追い求めて恋愛を謳歌し、ロイド(ゲリット・グレアム)はコンピュータとケネディ大統領暗殺の謎にとり憑かれていた。そんなある日、ポールの元に徴兵通知が届く…。>(シネフィルイマジカ

ブルーマンハッタン/哀愁の摩天楼
Hi, Mom!/1970/アメリカ
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:ロバート・デ・ニーロ、アレン・ガーフィールド、ララ・パーカー、ジェニファー・ソルト
<ベトナム戦争から戻ったジョン(ロバート・デ・ニーロ)は、すっかり人が変わってしまった。しかし、覗き趣味は相変わらず。ニューヨークの安アパートの向かいを盗み撮りをしている。ある日、ひょんなことから黒人解放運動の劇団の役者として出演することになったジョンは、次第に周りの影響を受け、活動家の仲間入りをする。そして、都市ゲリラになったジョンは…。>(シネフィルイマジカ

良い意味で、60年代の露悪と自意識がとてもよくわかる正続2本。
「黄昏のマンハッタン」は若者3人が徴兵忌避に頭を悩ませながらベトナム送りになるまでの2週間ほどのエピソードを断片的につなぎ合わせた内容で、時代の空気やムードをコメディタッチで綴ったものだ。あくまでもムードなので、ストーリーはあってないようなもの。しかしこの「黄昏のニューヨーク」で1969年のベルリン国際映画祭銀熊賞受賞してしまうんだから、これも時代か。いや、ケネディ暗殺からたったの4年でこんな映画が作れるアメリカという国も「悪くない国」。これまた時代か。
続く「哀愁の摩天楼」は完全にデ・ニーロひとりを主人公にした続編で、前作のポールやロイドは登場しない。こちらは自作自演の覗き趣味のポルノ映画監督になったジョンが、“Be Black Baby”(黒くなれ!)なる言葉を掲げるブラックパンサー的な急進的な黒人組織に関わり、狂気の都市ゲリラに変貌していく、という前作と打って変わってとてもわかりやすいストーリー。しかし、こちらも告発調の政治意識や問題意識があるわけではなく、60年代末から70年にかけてのニューヨーク(時代)のムードをコミカルに写し撮ったという感じで観ることができる。ただ後年の「タクシードライバー」に連なる内容という評価も頷ける、デ・ニーロの目力を観ることができる。
ジョンに誘惑され、覗きポルノに出演させられた上に、妊娠して、最後は爆殺されるという、めちゃくちゃでとてもシュールな役を演じたジェニファー・ソルト(「真夜中のカーボーイ」)は60年代っぽくて、かなり魅力的。

全編音楽を担当しているのはチルドレン・オブ・パラダイス(ベアー)とポップス職人エリック・カズ。こちらもいい感じです(音は相当悪いが)。

それにしても邦題がさっぱり意味不明だ。