マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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米谷町のくるみ餅

2017年08月24日 09時06分12秒 | 奈良市(旧五ケ谷村)へ
本来であれば、だいたいが12月22日にしている奈良市米谷町のイノコのくるみ餅。

前夜までに作っておくクルミモチは前日ぐらいに村神主が家で作る。

昔は石臼で青豆を挽いた。

作業がたいへんなので、この年は東北地方で名高い「ずんだ豆」を特別に注文して取り寄せた。

家に器械で搗いたモチをずんだ豆で包む。

包む前にしなければならないのがモチのオーブン焼き。

若干の焦げ目をつけるということである。

ミキサーで挽いたずんだ豆であってもクルミモチ。

包むようにするからクルミモチ。

砂糖を塗して少しは甘めにという作り方にする。

事前に立ち寄った村神主の奥さんがそう云っていた。

参考までに県内事例に亥の子のクルミモチを見かけることは多いが、たいがいが東山中である。

奈良市米谷町の白山比咩神社行事に宮座十一人衆が参集する座の四大行事がある。

2月22日の田楽飯、5月から6月にかけての筍飯、10月の松茸飯、12月22日のくるみ餅である。

安政六年に記された『宮本定式之事』によればくるみ餅の座行事は「例年霜月廿二日 算用ノ会一会なり 宮藪年貢才四郎より常の京舛に七升五合請取 その外ニ宮本よりつねのますニ壱升五合たし合九升拾壱人の飯代に神主江渡へし以上」とあることから、一年間を締めくくる決算日でもあった。

めいめいがいつもの通りに本社殿に向かって拝礼。

チンジサンの名で呼ばれている鎮守社に神武天皇遥拝所を参拝して参籠所に籠る。

くるみ餅座を始めるにあたって村神主が挨拶をされる。



座行事を手伝う佐多人(助侈人とも)は上座からの順にお神酒を注いでいく。

村神主から見て左の席についた一老、次に右の席の座中順に沿って注いでいく。

そして乾杯の音頭が発声されてお神酒をいただく。



各席にはパック詰め料理の膳が配られているが、座にパック膳以外の生蛸の造り、サバのキズシや三種盛りの漬物皿もある。



パック膳は給仕する佐多人にもあるが、給仕に忙しく、席につく時間もとれない。



ゆっくり食べることもできない座の給仕に務めていた。

炊事場ではモチ焼き器が稼動する。

モチ焼き器はオーブン。

前日に搗いた白餅は器械搗き。



真っ白な餅をオーブンに入れて数分間。

焦げ目をつける目的のオーブン焼きである。



焦げ目がついたところで停止して大鍋で炊いていたずんだ豆に漬け込んでできあがり。

できたてのクルミモチは早速、座に運ばれる。

はじめに1個のクルミモチ。



あまりの美味しさにおかわりを注文する座中も多い。

2回目は2個にしてくれと要望されるほどに美味しい。

一口食べてくださいと村神主の奥さんから云われて口にしたずんだ豆のクルミモチの味はとても旨い。



甘くて美味しいクルミモチはとろける味。

ずんだ豆だけに、食感は少しザラっとしているが、大鍋で炊きなおしたから豆も溶けるような感じであった。

なお、座の〆にハマグリの貝汁があったことを付記しておく。

(H28.12.20 EOS40D撮影)


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