マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

高樋町春日神社ヨイミヤのフリアゲ

2016年06月27日 09時13分00秒 | 奈良市(旧五ケ谷村)へ
万青の人たちを慰労し終えた高樋町春日神社のヨイミヤの行事はこれで終わることなく、次の年を担う當家子(トウヤゴ)を決める神事が行われる。

日が落ちた午後6時に春日神社に集まってきた氏子たち。

シキジが待っている場は割拝殿の神饌所側だ。

昼間の神事で供えたお神酒をよばれる。

大きな白色カワラケに盛ったジャコを手で摘まんでいただく。

隣の三方にはトウヤ(當家)が御供した2升の米で搗いた60個のコモチ盛りもある。

モチは2個ずつ。

一つは家に持ち帰るが、もう一つは割拝殿傍の場に設えたトンドの火に焼いてよばれる。

一方、神饌所の向かい側はフリアゲの場である。



円座は三つ。

中央に自治会長が座り、両隣にフリアゲで決まった當家子(トウヤゴ)が座る。

儀式に配膳されるお神酒、スルメ、コンブは三方に盛っていた。

フリアゲ神事に神職は登場しない。

参集する氏子にお神酒を注ぐシキジと自治会長が主催する。

御神燈の提灯は下がり藤紋様が入った神社提灯。



割拝殿右に「寺山/安明寺垣内」、「南垣内/北垣内」、「柳東垣内」それぞれの垣内提灯が。

左側に「中垣内」、「中東垣内」、「柳西垣内」がある。

本殿は瓜提灯のようにも見える丸提灯を吊り下げた

県内では総代を自治会長と呼ぶ地域は増えつつある。

高樋町ではかつて、フリアゲ神事を司るのは村総代だった。

今では自治会長。

三月に行われる五社代参フリアゲも自治会長がクジを引いていた。

この夜は當家子(とうやご)が決まる。

自治会長の足元を照らすのはお伴がもつ片手持ち提灯。

足元を照らす提灯にローソクを灯したら、直ちに割拝殿など一切の電灯を消す。

本殿も割拝殿も真っ暗な闇に包まれる。



お伴がもつ提灯の灯りだけが本殿に登って動く。

決してライトペンで照らすものではないという厳格な神事である。

神さんにお告げを乞うた自治会長。

しばらくすれば割拝殿に戻ってきた。

円座中央に自治会長が座る。



封書を開けて平成28年度の行事を務める當家子(とうやご)の名前を呼び出す。

フリアゲの名がある神事は高樋の神さんを拝んだ自治会長が持ち帰るクジは神意で決まったのである。

本来、決まった當家子(とうやご)はトウヤ(當家)家の成人男子。

生まれたらイリコ入りする。

当村で生まれた男子は生まれた順であるが、婿入りした男性もイリコ入りをする。

歳はいってもイリコ入りした日が誕生日みたいなもの。

いわゆる氏子入り。

私がそうだったとと云う人も何人かおられるようだ。

今回決まった當家子(とうやご)は二人とも中学生。

年齢の順に下った中学生だ。

これまで成人、高校生だった。

ぐっと下がって中学生になった。

次の當家子候補は小学生になるらしいが・・・。

自治会長の左側に座ったのはアニドウヤ。

右はオトウトドウヤだ。

年齢順でそうなっている。



給仕が出向いて御供下げしたスルメとコンブを差し出す。

自治会長、アニドウヤ、オトウトドウヤの順で手渡す。

次の給仕はお神酒だ。



當家引き渡しでもある儀式に献をするが、中学生では真似事になる。

當家子が決まって挨拶をされる神社総代。

初の役目に胸をなでおろす。

決まった當家子はあらためて家族とともに参拝をしていた。

神饌所の前は人だかり。



竹の先にいただいたモチを挿してトンドの火で焼く。

直接、火にあてれば焼けて焦げ付く。

少し離して焼く。

表が焼けたら裏面も焼く。

タイミングを失った場合はトロトロに溶けて竹から落ちてしまう。

焼いたモチは二つ折り。

ジャコを挟んで食べれば美味しくなるという。

云われた通りに焼いて挟んでいただいた。

美味い。

決まった當家子は氏子たちに囲まれる。



大役を射止めた同家の母親は笑顔になった。

かつては二組のトウヤ(當家)4軒でマツリをしてきた。

當家子に何事か起こればヒカエ(控え)が替わって務めた。

いつしか人数が少なくなって一組になった。

この形式は今年が最後になるであろう。

高樋の當家子決めは転換期を迎えている。

新たに導入する當家子決めは翌年の初集会にヒカエの在り方なども含めて大胆に改正するそうだ。

(H27.10.10 EOS40D撮影)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。