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── ヘーゲル『ヘーゲル・セレクション』廣松渉・加藤尚武編訳
知が変化するときには実は対象それ自身も意識にとって変化する。
というのは、現存した知は本質的にいって対象についての一つの知だったのであり、
対象は当の知に本質的に属していた以上、知[の変化]とともに
対象も別の対象に成るからである。
こうして、さきには意識にとって即自[自体存在]であったものが即自ではないということ、
より正確に言えば、それは当の意識にとってのみ即自であったにすぎないということ、
このことに意識が気付くようになる。
このような次第で、意識が自分の知が対象に照応していないということを
対象に即して見出す際には、対象それ自身も持続しない。
つまり、或る尺度で測られるはずのものが検査に合格しない場合には、
検査のこの尺度が変化するのである。
検査は、単に知の検査であるのみでなく、当の尺度の検査でもあるわけである。