「A」はつねに「非A」と同伴している
「A」も「非A」も単独では存在することはできない
「ストライクゾーン」と「ボールゾーン」
二つの空間のカップリングがゲームを成立させるように
「A」が「A」でありつづけるとき
「非A」も「非A」でありつづける
対抗しながら相互に前提、根拠を与えあい
依存しあうように一つのゲームを構成する
友-敵
聖-俗
「私」が立ち上がるとき、「非私」が同時にたちあがる
この「非私」は〝世界〟と名づけられている
「A-非A」、二つの極の間に動くもの
思考、感情はすべてこの極の間で揺れ動いている
世界に透明なラインが走り、さまざまな二極が生成する
ほんとう-うそ
よい-わるい
きれいーきたない
ラインを走らせて意味と価値を配置する
この作動原理をわれわれは「生命」と呼んでいる
価値あり-価値なし
さまざまな差異を拾い上げて
一つの意味的価値的配列のもとに置く
二つの極性において生きることの困難、矛盾、苦悩に出会うとき
生命はラインを引き直すように
新たにラインを加えるように動いていく
引き直すことで、新たなラインを加えることで
ゲームは更新され、あるいは新たなゲームが生成する
引き直せるものを引き直せないものとして
加えられるものを加えられないものとして
意味と価値の配列はそれ以外ないものとして
固定され、絶対化され、世界の姿がバインドされるとき
そこに、たとえば「差別」というものが現象する