鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『銀漢の賦:葉室麟・著』

2012-03-15 22:59:13 | Weblog
良く晴れた一日。
・・・朝起きるのが大儀で、大儀で・・・。いっそ休んでしまえたら、どんなにラクなことだろう。
休むことに罪悪感のないひとたちが羨ましい今日。


銀漢・・・天の川。
少年時代・・・三人でみた天の川。
時は流れ、ある事件で、絶縁した小弥太と源五、そして、若くして、その命を落すことになる十蔵。

小弥太は、月ヶ瀬藩の名家老・松浦将監となり、一方、日下部源五は、郡方の役人のまま。
運命は、再び、彼らを結びつける。

政には、悪役も必要だし、きれいごとばかりでは、国は富まぬ。
国替の難儀を救済するために、将監と源五は、再び、同じ道を目指す。

幼馴染のひとり・・・十蔵を処刑したのは、将監。十蔵は、一揆の首謀者だった・・・。
老いてから思う・・・。
殺さずに、三人で、力を合わせて、生きていくという方法もあったのではないかと・・・。
若いときは、その方法しか思いつかなかった。
権力を手に入れ、貧しい国を富ますには、この方法しか思いつかなかった。

死の足音を聞きながら、将監は、月ヶ瀬藩にせまる危機回避を目論む。
年月の流れに、明らかになっていく過去の真実。

やはり、二人の出会いは、運命だったのだ。
それは、恋にも似た友情。

将監は、源五に言う。
同じ為政者でも、失政した前家老と私は違う・・・。
私には、源五という親友がいた・・・。命を懸けてくれる友がいたのだ・・・。
何を今更・・・と源五は、素知らぬ顔をする。

銀漢・・・天の川・・・。
そして、頭髪に白いものをいただいた五十路を過ぎた漢(おとこ)のこと・・・。
時を隔てなくては、とうてい辿りつけぬであろう長い長い時間という名の道のり。

端正で、秀麗。
こころゆさぶるような一冊。